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2020.01.04

コラム | 知財図鑑コラム

知財図鑑、はじまる。

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はじめまして、知財図鑑です。

わたしたちは、非研究者のために生まれた知財データベースです。

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世界を進化させる知財をクリエイターの目線で再解釈し、活用の可能性を起案していきます。

なぜいま「知財図鑑」なのか。

まずは、わたしたちの活動のビジョンを記します。

知財をもっとオープンに。

知財は、先人たちが積み上げてきた
誰もが手に取れる叡智の山だ。

新たな挑戦へ踏み出す時
先人の知恵と出逢えれば“車輪を再発明“することなく
未来の歩みを進められる。

他方、知財は活用されてフィードバックを
得ることで、発展を遂げていく。

しかし多くの知財は、模倣されないよう
積極的にオープンにはされていない。
これは大きな機会損失だ。

今こそ知財を活用し、その価値を高めよう。

わたしたちはクリエイターの視点で
“すごい知財“をシンプルに解説し
活用の可能性を提案します。

知財ハンターについて

知財図鑑の運営主体はクリエイターで、自らを「知財ハンター」と名乗っています。立ち上げた2020年1月現在は、株式会社コネルを中心とした8名の知財ハンターが"すごい知財"をリサーチし、分析しています。

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知財図鑑がハントするのは、特許や権利だけにとどまらず、誰もが使えるWeb APIや、新素材、サービス化されたテクノロジーも対象としています。

「活用の可能性が広い」ことが唯一の選定基準です。

もともと農業のために生み出された知財が、医療のために役立つかもしれない。数学の研究として追求された数式が、エンターテイメントに活きるかもしれない。既成概念にとらわれない視点で "すごい知財" の活用を考えるのが知財ハンターの得意分野です。そして、活用を考えるだけでなく、リアリティの高い妄想として可視化していきます。

妄想プロジェクトとは?

たとえば、音声から気分や感情を解析する「Empath」というAIがあります。

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この知財の優れているところは、「言語=話している内容」に依存せず、声色など物理的特徴をもとに、リアルタイムで喜び、平常、怒り、悲しみの4つの感情と元気度を解析できるところです。

顧客の満足度や感情解析のためにコールセンターなどで実用されているこの知財ですが、たとえばこんな使い方ができるはずだと考えました。

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Empathのエンジンを用いて感情を込めた抑揚を逆生成することで、「朗読上手なリーディングAI」を育成する。
楽しいとき、寂しいとき、眠たいとき。話しかけるだけでその子の感情を読み取り、今一番聞きたいトーンの声でお話を読み聞かせてくれる。そのときの気持ちに寄り添った、最高の話し相手になってくれるだろう。

これが「妄想プロジェクト」です。クリエイターが技術的な側面を理解し、利害やステレオタイプに縛られず、自由に未来を妄想しています。

元来、企業や研究所ではたくさんのアイディアが日々生まれ続けているはずですが、そのアイディアが他人に共有されたり、実際にプロトタイピングが着手されることはとても少ないだろうと思われます。

我々はクリエイターという職能を、アイディアを可視化することに使います。「いいこと思いついた!」という方は、ぜひ知財ハンターまでご連絡ください。可視化して、賛同する仲間が見つかれば、プロトタイピングすればよいのです。

研究開発効率:先進主要国最下位

「知財/知的財産」という言葉にはアカデミックな響きがあり、研究所・白衣・特許庁・裁判・弁理士といったワードが連想されます。

事実、2018年には国内で約31万件の特許出願があり、約10万本の論文が発表されました。少し古い情報ですが、経産省によれば昨今の国内研究開発費は約19兆円で、世界第3位のポジションをキープしています。

chizaizukan_start_7 OECD Main Science and Technology Indicators /Gross Domestic Expenditure on R&D-GERD (current PPP $) (2019年4⽉12⽇時点) を基に経済産業省作成

これはとても大きな数字で、日本における「研究や開発」が継続的に活発であることを裏付けています。

一方で「研究開発効率」、つまり研究開発の成果がビジネスにつながっているかという指標を見ると、先進主要国で最下位になります。

chizaizukan_start_8 内閣府 世界経済の潮流 2012年資料より

つまり力を入れた研究が、ビジネスや生活の場面に活かされていないとも言えます。
理由は複層的でしょうが、研究成果がアカデミックな世界の内側で盛り上がっていて、生活に寄与する事業を担うビジネスの世界に届いていないことが大きな課題だと考えています。

大学や企業の研究機関でも、オープンハウスと呼ばれる研究成果の展示会や、各種カンファレンスへの出展など、知財を披露する機会を積極的に作ってはいると思います。
しかし、そこに来ているのは非常に限定された層の人々が多く、ビジネスやトレンドを動かしている多忙なキーパーソンや、新しいチャレンジを行うクリエイターの含有率は、とても低いでしょう。

非研究者にこそ届けたい

事業責任者や投資家などのビジネスリーダー、エンジニアやプランナーなどのクリエイター。0を1にし、100を作っていくバイタリティの高い非研究者こそ、自分の挑戦にフィットする知財の情報にアクセスすべきです。

彼ら、彼女たちは目的に向かう意識がとても高く、知財が自分たちのプロジェクトのスピードや質をあげると判断すれば、どんどん活用していくことでしょう。

しかしながら、現状は求める知財に出会う手段が乏しく、「車輪の再発明」をしてしまったり、途中でチャレンジを諦めてしまうケースも少なくないと考えています。非研究者には、英語の論文を読んだり、学術的な基礎知識を学ぶ時間はありません。「知財図鑑」はこの課題を解決し、知財の活用促進に寄与したいと考えています。

時間をかけずとも、その「知財」の特徴が頭に入りやすいように
・なにがすごいのか?
・なぜ生まれたのか?
・なぜできるのか?
を誰でもわかるような言葉で端的に伝えます。

そして、活用のイメージを持っていただくために
・妄想プロジェクト
・相性のいい分野
のご紹介やご提案をしていきます。

知財をポジティブに公開する時代へ

私たちは「知財図鑑」を立ち上げるにあたり、様々な研究者や企業の知財部署の方々とお会いし、いろんな角度でのご指南をいただきました。

実際に知財分野のお仕事に就かれている方々としても、権利を侵害されない「ディフェンス」のために特許と向き合うことが多いそうです。そしてディフェンスしたはずの知財が誰からも使われないケースが相当量あると伺いました。

大切な知財をしっかり保護することは重要ですが、適切に使われてこそビジネスに寄与できることにも意識を向けていきたいです。競合環境が激しい業界での自社利用がメインの場合であったとしても、異業種への展開によって想定以上の利益を生み出す可能性もあります。

もちろん、「秘伝のタレ」のレシピを公開する必要はありません。
わたしたちが目指すのは、「必要なディフェンスは施しつつ、活用のイメージを大きく膨らませて、より多くの非研究者が業界の壁を超えて、知財の情報にアクセスできる未来」です。

世界の進化のスピードは、まだまだ上げられるはずです。

2020年1月吉日 株式会社 知財図鑑

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代表知財ハンター
左から荻野靖洋、荒井亮、出村光世、宮田大

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