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2021.03.29

知財ニュース

未来の情報ストレージデバイスのプロトタイプ「Black Hole Recorder」が誕生——月の質量に相当する人工ブラックホールを格納

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引用元: http://uselessprototyping.jp/blackholerecorder/

一見役に立たないプロトタイプで、未知への好奇心が未来をつくる可能性を可視化する「Useless Prototyping Studio」(ユースレス・プロトタイピング・スタジオ)が、その第1弾プロトタイプとして、未来の情報ストレージデバイス「Black Hole Recorder」(ブラックホール・レコーダー)を制作しました。

「Useless Prototyping Studio」とは科学と世界の新しい関係づくりを目的に、一見役に立たたずとも人の心をインスパイアするプロトタイプをつくるデザインスタジオ。科学者の「未知への好奇心」から導き出された科学的理論・仮説をもとに、それらが未来を一変させる可能性を空想して、プロトタイプとして具現化することで、科学が持つ未来へのポテンシャルを可視化します。

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Black Hole Recorder は、ブラックホールを制御し、情報を蓄積できるデバイスとして利用する未来を見据えて開発された、ブラックホールストレージのプロトタイプ(模型)です。蓄音機をモチーフに、膨大なデータを録音することができるデバイスという設定。また大容量の情報を蓄えるだけでなく、取り込んだ情報を取り出すことも可能です。

【基本構造の設定】
月の質量に相当する物体を約0.1mmの大きさに圧縮することで生成したブラックホールを格納。
上部と下部に入っているブラックホールを制御することでデータを記録、転送します。
【主な機能】音声情報の記録/音声情報の再生
【蓄積できる情報量】約10の52乗ギガバイト(10那由他バイト)
【サイズ】高さ 630mm、幅280mm、奥行き352mm
【温度】約−273℃〜10の32乗℃(1溝℃)

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Black Hole Recorderは、理化学研究所数理創造プログラム上級研究員の横倉祐貴(よこくら ゆうき)氏が2020年7月8日に発表した「蒸発するブラックホールの内部を理論的に記述-ブラックホールは未来の大容量情報ストレージ?-」の理論にインスパイアされ、クリエイターがブラックホールを大容量情報ストレージデバイスとして活用する未来を空想し、その未来の可能性をデザインしながら制作したものです。

将来的には、Black Hole Recorderに蓄積した音声データを、パラボラアンテナ等を活用して電波としてブラックホールに送信し、人類として初めてブラックホールにデータを書き込むことを計画しており、様々なアーティストとのコラボレーションや美術館などでの展示も計画しています。

人間は、数千年前に文字を発明して以降、情報を記録する媒体と技術を紙・印刷・写真・蓄音機・映像・データと進化させてきました。近年、どれだけ大量の情報を蓄えられるかの開発が様々な分野でなされています。将来、ブラックホールを情報ストレージとして活用し、ポケットに入れて持ち運ぶ時代がやってくるかもしれません。

「Black Hole Recorder」の詳細はこちら

横倉祐貴氏が発表した量子ブラックホールに関する論文はこちら

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