研究力回復へ官民で120兆円投資——政府が「科学技術・イノベーション基本計画」を閣議決定

日本政府は、2021年度から5年間の科学技術政策の基本方針を示す「科学技術・イノベーション基本計画」を閣議決定した。この期間中の研究開発投資額は、政府で30兆円、民間と合わせて120兆円と、前回の計画から4兆円を上積みした過去最大の目標を設定している。大学院生らへの支援を強化し、若手が手薄な研究人材の土台を立て直す。

今回の計画の特徴は、研究人材育成のための投資が大幅に充実していることだ。日本の若手研究者たちの置かれている環境は海外諸国と比較しても厳しく、経済的負担やキャリアパスへの不安などから、博士課程への進学率は年々減っている。

このような状況の中で、研究環境を改善するため、人工知能などを専攻する優秀な学生に生活費を支援する制度を設けて、25年度までに年間180万円以上の生活費相当額を受給する学生を現在の3倍に増やすことや、40歳未満の大学常勤教員の割合を全体の3割以上にすることなどを目標に掲げている。

下記は3月16日に総理大臣官邸で行われた、第52回総合科学技術・イノベーション会議の際の菅総理の声明だ。

今回の基本計画は、理系、文系を始めとする分野の垣根を乗り越えて、研究開発の成果により、社会を変革させるとともに、研究人材育成のための投資を大幅に充実させます。AIや量子技術といった最先端の研究開発を加速させることにより、感染症や激甚化する災害など直面する脅威に対応するとともに、次の成長の原動力とします。

このため、2兆円のグリーン基金、10兆円規模の大学ファンドなど、かつてない大胆な予算を確保するとともに、今後5年間で政府の研究開発投資30兆円、官民120兆円の投資目標を設定し、国際的な研究開発競争をリードしていきます。

また、本日は、大学ファンド運用に関する専門調査会の設置を決定しました。優秀な人材と豊富な資金が集まる世界トップクラスの研究大学を目指し、大学ファンドの具体的な制度設計を進めます。大学改革に向けた新たな法的枠組みを早急に検討し、次期通常国会への提出を目指します。さらに、全ての大学の研究力を向上させるために、支援策全体の見直しを進めていきます。

2021年度にも運用が開始される10兆円規模の大学基金もこの計画に活用される予定。国内初となるこの大学基金の運用益は、大学の研究環境の改善や若手研究者の育成に充てられる。未来を担う若手研究者や学生たちの支援が充実し、国際競争力の低下が指摘される日本の研究開発がより活発化されることが期待される。

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