No.1164
2026.07.21
耳の迷走神経に働きかけ、ストレスを鎮めるウェアラブル
Nuropod(ニューロポッド)

概要
「Nuropod(ニューロポッド)」は、耳から迷走神経を刺激してストレスの緩和をうながす、ウェアラブル型の神経刺激デバイス。開発したのはイギリス発の企業Parasym(パラシム)で、2025年末にアメリカで「世界で最も研究されたウェアラブル型の迷走神経刺激装置」として発売した。Nuropodは、欧州・英国で先行展開されてきた同社デバイス「Nurosym(ニューロシム)」の北米向けバージョンにあたる。
迷走神経は、脳から各臓器へと伸びる長い神経で、心拍数や呼吸、消化、免疫反応などを必要に応じて調整する役割を担う。Parasymは、Nuropodがこの迷走神経を刺激することで気持ちをすばやく落ち着かせ、ストレス反応を鎮めて炎症のバランスを整え、頭と身体のパフォーマンスを高めるとしている。本体は小さなリモコンのような形状にイヤーピースが付いた構造で、左耳の入り口にある軟骨の突起「耳珠(じじゅ)」の両側に電極を当てて使う。薬に頼らず、自宅で手軽にストレスや睡眠のケアに取り組める点を打ち出している。
なにがすごいのか?
耳に当てるだけで、迷走神経を介して気持ちを落ち着かせられる
薬に頼らず、自宅でストレスや睡眠のセルフケアに取り組める
60を超える研究と150以上の研究パートナーに支えられた技術を使える
なぜ生まれたのか?
「もっと集中したい」「心のバランスを整えたい」「ぐっすり眠りたい」——こうした現代人の悩みの背景に、自律神経の調整役である迷走神経の働きがあると考えられている。迷走神経を医療的に刺激する治療はこれまでも存在してきたが、その多くは体内に機器を埋め込む侵襲的なものや、医療機関でしか受けられないものだった。Parasymは、この迷走神経へのアプローチを、日常生活のなかで、耳に当てるだけで行える形へと落とし込もうとした。医療の知見をウェアラブルへと橋渡しし、ストレス・集中力・睡眠といった悩みに、薬や手術に頼らず働きかける選択肢を提示すること——そこにNuropod開発の狙いがある。なお、効果の感じ方には個人差があり、医療機器としての位置づけや適応は国や地域によって異なる点には注意が必要となる。
なぜできるのか?
耳珠に電極を当てる経皮的な迷走神経刺激
Nuropodは、左耳の入り口にある軟骨の突起「耳珠」の両側に電極を当て、皮膚の上から迷走神経の枝を刺激する。外科的な処置を伴わず、耳という体表に近い部位から神経へアプローチできる。使用中はやさしく脈打つような感覚があるとされ、リモコン状の本体で手元から操作できる。埋め込み型の装置に比べ、日常のなかで取り入れやすい形を採っている。
60以上の研究で検証された「AVNT」技術
デバイスを支えるのは「AVNT」と呼ばれる技術で、Parasymによれば60を超える研究で検証され、カリフォルニア大学ロサンゼルス校やシカゴ大学を含む150以上の研究パートナーと共同で開発されてきたという。研究の蓄積を土台にしている点が、同社が「世界で最も研究された」とうたう根拠になっている。ただし、関連研究のすべてが一般公開されているわけではなく、研究者や医療従事者にはデータへのアクセス申請が案内されている。
神経系に合わせて調整するセッション設計
刺激のセッションの長さや強さは、使う人の神経系の状態や必要性に応じて変わる設計とされる。一律の刺激を与えるのではなく、個々のコンディションに合わせて調整する設計となっている。価格は900ドル(約14万円)で、発売当初は迷走神経のオンライン質問・アセスメントに回答することで割引が受けられるキャンペーンも案内されていた。
相性のいい産業分野
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
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Top Image : © Nuropod

