No. 111 月面でも生産可能なスーパー食用藻類

スピルリナを用いたタンパク質生産システム

この技術は、食用藻類であるスピルリナを用いて、省資源かつコンパクトにタンパク質の生産を可能にするシステムである。人口増加等で世界的な食料不足が懸念される中、穀物で賄いきれない分を補う新しいタンパク質供給源であり、栄養価も高いと注目されているスピルリナ。このシステムでは土や水の必要量が非常に少ないため、将来の月面長期滞在時のタンパク質生産システムとしても期待される。

なにがすごいのか?

  • タンパク質が豊富な藻類・スピルリナを利用
  • 省資源・高生産性・省スペースの大量培養方法
  • 世界初の生スピルリナ製品を作った会社が開発
  • 月面農場に対する研究提案としてJAXAが採択

なぜ生まれたのか?

宇宙で生活するための研究開発が世界各国で進んでいる中、食料を全て地球から運ぶことは非現実的な為、旅の途中や現地でも食料を生産することが必須となると考えられている。そこでJAXAの宇宙探査イノベーションハブにより研究提案募集「穀物に頼らないコンパクトなタンパク質生産システム」が実施された。この中で、宇宙の特異な環境でも対応でき、かつ最小限のリソースで実現できる食料生産システムとして、この研究開発が採択された。

なぜできるのか?

栄養価の高いスピルリナを使用

古来からある藻の一種で、60種類以上の豊富な栄養素を持ちスーパーフードとも称される。藻類の中でもスピルリナは特にタンパク質含有量が高いため特異な環境で重用される期待が高い。

効率的な生産方法

スピルリナの単位面積あたりのタンパク質生産性は、大豆やトウモロコシと比較して15倍以上。また、スピルリナから1kgのタンパク質を生産するために必要な資源を大豆と比較した場合、土地面積は約1/27、淡水使用量は約1/5となり、資源性の面からも効率的な生産方法が実現した。

バイオ技術専門会社による大量培養技術

国内最大級の藻類生産実証試験設備を有し、世界で初めて燃料用藻類の長期連続生産に成功したり、世界初の生スピルリナ製品の事業化を行うなどの技術をもつグループが開発している。

相性のいい分野

SDGs
食料不足の地域や災害時の避難所にて、その場で作れる栄養摂取システム
フード
自家製スピルリナを調理して提供する藻類レストラン
アート
作品にスピルリナの生産システムを組み込んだ、変化するバイオアート
ビューティー
自宅で栽培でき、美容に効果のある「スーパーフード栽培キット」
建築
水や土の少ない地域の建築物の壁にシステムを埋め込んだ、観賞用&食用の壁

知財情報

主な知財ホルダー:株式会社ちとせ研究所、株式会社タベルモ

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

小髙 充弘 Mitsuhiro Odaka
Media Artist / Konel Inc.

1991年生、神戸出身。学士(医学,理学)。広義の「感染」に関するメディアアート制作を行う。病原体、行動、モラル等が、複雑に跨ぎ合うつながり構造の上を拡散・極性化する現象に関心がある。その関心の下で、データによる予測可能性を超えた逸脱的な意味付けの内部に人間が人間たる規定要因を探したり、疎外された逸脱主体と他との交流の回復がありうるのか探ったりしている。


知財ライティング: 丑田美奈子