No.202
2020.10.29
映像から脈波を測る技術で体調管理を手軽に
リズミル
概要
「リズミル」は、光の性質と映像を利用するだけで、測定対象者の身体に触れることなく生体データを測定し、体調の変化を手軽に把握できる技術。従来、心拍数などの生体データを得るには、測定対象者が特殊な医療機器やウェアラブルデバイスを身に着ける必要があった。一方、「リズミル」は、映像さえあれば非接触のうちにデータを得られるため、装着者への心理的・身体的負担を大きく減らすことができる。スマートフォンやパソコンなどのカメラ内蔵機器が日常生活に浸透した昨今、より多くの人が予防医療を受けられる未来の実現に向けて、「リズミル」が一翼を担う可能性があると期待されている。
「リズミル」は、東北大学の研究チームが中核となって開発した「映像脈波抽出技術」と、株式会社シーエーシーのIT技術が合わさることで誕生した。
妄想プロジェクト 妄想プロジェクト
遠隔ドクターストップ
「リズミル」の技術は、スポーツの分野でも活かされるかもしれない。例えば炎天下で連日投げ続ける高校野球のピッチャー、体力の限界まで走り続けるマラソンランナー、意識を失いそうになりながらも戦い続けるボクサー。そうした極限状態に置けるスポーツ選手の姿は見る人々に感動を与える反面、その内側では選手生命に関わる重篤なダメージを負ってしまうこともままある。
そこで「リズミル」による、対象者の体に触れることなく生体データを検出する技術が今後発展すれば、こうした取り返しのつかない事態を未然に防げるかもしれない。当事者である選手が自ら判断してゲームを降りることは容易ではないが、データによる数値化であらかじめボーダーラインを設定すれば第三者の目線で冷静なドクターストップがかけられる。アスリートとしての寿命を守りつつ、スター選手の離脱やアクシデントによるチームの損失も防ぐことができるだろう。
なぜできるのか?
光の性質と映像を利用した脈波抽出技術
可視光は波長に応じて色が異なって見えるが、血液に含まれる「ヘモグロビン」はこのうち、青色や緑色に見える比較的短い波長の光を多く吸収する一方で、赤色に見える長い波長の光はあまり吸収しない性質がある。本技術では、皮膚からの反射光、特に緑色光について録画し、波長に対する吸収・反射率の変動を皮下血管の収縮・拡張率の変動に対応付けることで、脈波を捉える。
少しの負担で、多くの生体データを取得
スマートフォンやパソコンに内蔵された(あるいは外付けされた)カメラによって、映像をリアルタイムに解析する。前もって保存しておいた映像を読み込ませることもできる。映像の解析によってバイタルサインを含む種々の生体データを推測するため、測定対象者の身体に触れることがない。そのため対象者にかかる心理的・体力的な負担を大幅に減らせる。
相性のいい産業分野
- ロボティクス
心拍数を常日頃モニタリングし、異常検知すると知らせてくれる、寄り添いロボット
- アート・エンターテインメント
ゲームプレイヤーの心拍に応じて演出の変化するeスポーツ(esports)
- 医療・福祉
モニター画面越しにバイタルサインを測定する遠隔診療
- 環境・エネルギー
特殊な体調管理方法を要する希少動物でも、グローバルな人脈ネットワークで繋がれた専門家が映像配信を通じて見守ることのできるシステム
この知財の情報・出典
この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。