No. 226 どんな布にも導電性を持たせる技術

PolySense

「PolySense」は、さまざまな布地に導電性を持たせることができる技術。染色の技術を応用しており、既製品の布にも簡単に導電性を持たせることができる。従来の導電布は、表面にメッキ加工を施したものであり、電磁波対策用素材としてしか使用されていなかった。一方、「PolySense」は染色のプロセスを用いることで、布としての性質を失うことなく、また導電素材としても優れた機能を持つ素材の生成に成功した。また、柄をつけることで場所ごとに抵抗値を設定できるようになり、幅広い応用性を持たせることを可能にした。さまざまな発展性を持つ新素材として、今後プロダクトデザインや現代アートなどさまざまな分野での活用が期待されている。

さまざまな技術への応用が期待できる。

妄想プロジェクト

未来のエレキ・マッサージソファ

PolySenseの技術を用いて伝導性を持ったソファをつくったらどうだろう。既製品の布にも応用可能な技術なのでデザインを損なうことなくプロダクトができる。そこに、座った人の健康状態をセンシングする技術を掛け合わせ、疲れの箇所を読み取り微量の電流を流すマッサージチェアを作ることはできないだろうか。銭湯の電気風呂のように、座るだけで体内のイオンを調整し、筋肉を収縮させ血行を促進する未来のマッサージチェアができるかもしれない。


妄想家: 後藤友尋

なぜできるのか?

染色技術を応用した生成法

染色プロセスに含まれる「In situ polymerization」(繊維や織物の存在下に重合を行う、いわゆる「その場重合」)で酸化ポリピロールを生成し、導電性を付与する(ポリピロールとはピロールと呼ばれる化合物の重合体のことで、酸化鉄との反応により導電性を獲得する)。ここでピロールの液を染み込ませる布地は任意のものでよく、そのため簡単に導電性を持つ素材を生成できる。

布地の動きと連動した電気抵抗の変化

できた素材は力を加えることによって電気抵抗が変化する性質を持つ。そのため布地の動きと連動して電流の大きさが変化する。

柄によるさまざまな抵抗値の作成

布地に模様を付ける上では、「バティック」というインドネシアやマレーシアのろうけつ染め布地でも用いられる、蝋で防染し柄を生み出す技術を応用している。導電性と絶縁部を組み合わせることで電気抵抗値を自由に設定できる。

 

相性のいい分野

ファッション
電子機器の遠隔操作や着るだけで機器の充電が可能な衣服
ファッション
通電により温度調節可能なスーパーヒートテック
インテリア
断線することのない「布コードケーブル」
IoT
人肌の暖かさになるぬいぐるみ
セキュリティ
身の危険をアラートしてくれる信号服

知財情報

主な知財ホルダー: Cedric H., Hannah P.W., Marc T., Bruno F., and Jürgen S.

知財ハンター

後藤 祐介 Yuske Goto
Design Engineer / Konel Inc.

電機メーカー勤務後ドイツの大学でデザイン専攻。その後ドイツおよびマレーシアでプロダクトデザインおよびテクニカルリサーチに従事後、日本でIoTプロダクト開発やテクニカルディレクションに携わる。新素材、Human-Computerインターフェース技術や技術の文化史に関心がある。


知財ライティング: 佐藤拓海