No. 227 音声を発するタトゥー

Skin Motion

「Skin Motion」は、音声をタトゥーとして体に刻む技術だ。恋人・家族・ペットなどの声の波形を皮膚に彫り、そこに専用アプリを入れたスマホをかざすことで、いつでも音声を再生することができる。「Skin Motion」は、縄文時代(16000年前)から存在すると言われるタトゥーと、現代の画像認識や音声処理などの技術を組み合わせ、これまで音声とは無縁だったタトゥーに新たな可能性をもたらした。紹介動画は世界で3.5億回以上再生されており、新しいタトゥーのスタイルとなることが期待される。

妄想プロジェクト

タトゥー・ダンス

「タトゥー・ダンス」は、Skin Motionを応用したダンス・パフォーマンス。

舞台の上手下手に鎮座するスピーカーから流れるのは、グルーヴィーなループ・ミュージック。ベース・ドラムス・パーカッションのリズム体がビートを刻み、楽曲を基礎作る。身体に音声波形タトゥーを入れたダンサーたちは言わば「楽器人間」。異なる音色・メロディを割り当てられている。

ダンサーが“決め”のポーズをとると、イヤホンを着けた観客が端末をダンサーに向けて、専用アプリの無音シャッターカメラ機能でタトゥーを読み取る。読み取られた波形は同じアプリのSkin Motion機能で解析され、音声がループ再生される。この音声が観客それぞれで異なるのが、タトゥー・ダンスの最大の特徴である。つまり、立つ位置によって舞台やダンサーとのアングルが変わるため、ピアノの和音進行を聴く人もいればギターのリフを聴く人もいるのだ。こうして決めポーズごとに読み取った音声をグルーヴの上に積み重ねていくことで、自分だけのハーモニーをつくりあげる。

タトゥー・ダンスは観客を一方的なパフォーマンスの傍観者にしない。身体性に連動する音声を自ら採りに行き、ダンスの躍動と音楽をダイナミックに融合させる探索者にする、新感覚のインタラクティブ・アート作品なのだ。


妄想家: 足立章太郎、澤邊元太 妄想画家: 田嶋千寛

なぜできるのか?

画像処理と音声処理の組み合わせ

JavaScriptとPythonでカスタムビルドされた独自プラットフォームにおいて、タトゥーとして刻まれた波形を画像認識と音響信号処理で解析することにより、音声を流すことができる。

スマホアプリを活用した再生動作

タトゥーの画像を専用サイトにアップロードし、SkinMotionアプリを入れたスマートフォンでかざすというシンプルな操作で音声が再生できる。

カスタマイズできるデザイン

ファッションとしてのタトゥーの要素も重視しており、規定のデザイン内に収まれば音波を色や模様で塗りつぶしたり、アウトラインだけにしたり、周囲にデザイン要素を加えたりなどの加工が可能。

相性のいい分野

メンタルヘルス
大切な人や故人の言葉、大事にしているペットの声が体に刻まれていることで得られる、いつでも一緒にいるという安心感
教育
音の幅や音の長さを示した図をスマホで認識し、実際にどのような音がなるのかを学ぶ音楽の授業
医療
精神疾患や中毒患者らの治療の一環としての、大切な人の戒めの言葉を刻んだタトゥー療法
ライフスタイル
ビール腹に戒めとして刻み、太るほど波形が引き伸ばされ低音になる楽曲「太りゆく中年のためのパヴァーヌ」
ライフスタイル
毎日の皮膚状態(健康状態の指標)に応じて変わる音色 (note) の日誌 (note)「ヘルス・トラッキング・ノート」
フード
生産者と消費者の距離を近づける、地元農家のメッセージを刻んだ生鮮食品(肉・野菜・フルーツ)
災害
大災害時にインフラ機能が一時停止した際、復旧まで情報伝達を担う「伝音鳩」
災害
個人情報を彫っておくことで、災害や事故の際に意識がなくても本人確認ができる、個人認証タトゥー

知財情報

主な知財ホルダー:SKIN MOTION, LLC

この知財は様々な特許や要素技術が関連しています。
詳細な情報をお求めの場合は、お問い合わせください。

知財ハンター

宮田 大 Dai Miyata
Creative Director / Konel Inc.

1985年石川県金沢市生まれ。ブランディングから広告、映像、グラフィックデザインのクリエイティブディレクションが得意領域。Konelではプランからデザインまで自身で担当することも多い。アナログとデジタルを共有するプロダクト/テクノロジーや、映像・音楽関係の知財に高い関心を持つ。趣味は音楽制作で、トラックメイキングからラップもたまに行う。


知財ライティング: 中澤智心