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2021.01.14
知財ニュース
福岡県直方市、産学官連携による市内一級河川樋門のIoT遠隔監視制御システムの開発を開始
令和に元号が改正されてごく短い間に、日本は歴史に稀に見る規模の自然災害に遭遇して来ました。
特に注目を集めたのは、河川の氾濫ではないでしょうか。東京、熊本、東北をはじめとした記録的な大雨による河川の氾濫や土砂崩れは、これまで当たり前にあった川沿いの風景を変えてしまいました。
知財ハンターの中にも河川の管理テクノロジーに関連する業務経験のある者がいます。
彼曰く、今も河川における監視は、とてもアナログな世界なのだそう。水量計と監視カメラによる目視確認が河川管理の現場の日常なのだそうです。
そんな中、福岡県直方市が河川管理にもIoTによる管理システムを導入する実証実験を開始しました。
エッジAIとIoTを活用して、河川の樋門(水門)遠隔監視・遠隔制御を実現。既設樋門への接続運用を可能とするソリューションを実現。
アドバンテックテクノロジーズ株式会社(旧 オムロン直方 福岡県直方市 代表取締役社長 石田 隆裕)、株式会社 ジェー・フィルズ (福岡県北九州市小倉北区 代表取締役社長 谷 一身)、および福岡大学 工学部 電子情報工学科 大橋研究室 (福岡県福岡市城南区 大橋正良 教授)は、直方市(市長 大塚進弘)が行った公募型プロポーザル「直方市遠隔監視制御型樋門管理システム調査検証業務」の受託者に決定いたしました。
この委託業務は、2021年3月19日までに、直方市内の遠賀川河川域の樋門を遠隔監視・制御するための現況調査、およびシステムの開発と検証を行うものです。
アドバンテックテクノロジーズはAI、IoTシステムの迅速な導入を可能とする「Advantech Edge+」 プラットフォームを本件に採用。 ジェー・フィルズは、自社が特許を有する「手動樋門制御技術」を活かします。 福岡大学 大橋研究室は、水位・水流を非接触・遠隔でセンシングする基礎研究を活かし、これらの技術を「Advantech Edge+」と連携する事で、このプロジェクトを短期間で実現します。
1.樋門を操作するために必要なギアユニット、IoTユニット、および各種センサーの機能を持つ樋門現場のエッジシステム
2.樋門現場からの情報を蓄積し、分析する機能を持つクラウドシステム
3.管理センターより簡単に樋門現場の状態を把握できるダッシュボード、および簡単に樋門操作が可能なユーザインターフェースの機能を持つ管理システム
産官学が連携して、地域の安全に寄与する技術を作る試み。昨今の災害の多さは、逆説的に防災への意識と技術を高めるきっかけとなったのかもしれません。近い将来、AIとIoTによる河川管理が日本国内で当たり前になる日もそう遠くはないように思えます。