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2024.09.27
知財ニュース
世界初、文化遺産の匂いを保存―ポーランドで「文化遺産の香りの図書館」がオープン
ポーランドのクラクフ国立博物館は、スロベニア国立博物館と提携し、世界初となる「文化遺産の匂いを保存」し再現した『香りの図書館』を立ち上げた。
文化遺産の匂いを保存することを目標に、「Odotheka(オドテカ)」と呼ばれるこのプロジェクトに取り組んでいる。プロジェクトは、歴史的遺物から、有名なポーランドの画家の作品やスロベニアの国民的詩人の嗅ぎタバコ入れなど、10点の品物の匂いをアーカイブ化するという。
研究者チームは、クラクフ国立博物館とスロベニア国立博物館から10点の歴史的遺物の匂いを保存した。このプロジェクトで最初に抽出した香りはレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「白貂を抱く貴婦人」からだという。
放送局RMF FMによると、クルミ材の板、塗料、ニスの香りがするといい、プロジェクトの一環として香水が作られている。
近年、視覚だけでなく他の感覚も重視する多感覚型美術館の傾向がますます進んでいる。その中で、香りは重要な役割を果たし、博物館を訪れる人は匂いの知覚を通じて、視覚情報だけよりも博物館の展示品とその歴史についてより深い洞察を得ることができるのだという。また、匂いは私たちに帰属意識やアイデンティティを与えるため、文化遺産において非常に重要な役割を果たしているとのこと。
スロベニア国立博物館の学芸員であるダルコ・クネズ氏によると、優れたコレクションを新しい方法で探索し、まったく新しい角度からその物語を伝えることができるとのことだ。
Top Image : © クラクフ 国立博物館