News
2021.07.27
知財ニュース
ヤフー、「Yahoo!」の商標権等を1,785億円で取得─機動的な技術開発・事業展開が可能に
Zホールディングス傘下のヤフーは7月5日、「ヤフージャパン ライセンス契約」に係る基本契約を締結したと発表。ヤフーはこれまで「ヤフージャパン ライセンス契約」により、「Yahoo!」「Yahoo!Japan」の商標や技術の利用にロイヤルティを支払っていたが、本基本契約でそれが不要となる。ヤフーは一連の対価として、1,785億円を支払う。今後はブランド使用や技術開発の自由度が増し、機動的な事業展開が可能になるという。
Yahoo!の商標などの管理はこれまで、米Verizon Mediaの子会社であるOath Holdingsが実施してきた。Verizon Mediaは、米通信会社のVerizonが2017年に米Yahoo!を買収しAOLと統合して設立した会社。世界30カ国以上でメディアブランド・広告プラットフォームの運営を行っている。しかし21年5月、VerizonはVerizon Mediaを投資会社のApollo Global Managementに50億ドル(約5,450億円)で売却すると発表。21年後半には売却完了予定という。
Verizon Mediaの事業領域(HPより抜粋)
本基本契約は、Verizon Mediaの売却完了などを前提条件とし、ヤフーとOath Holdingsとで締結した。契約には、前述のYahoo!等商標権の取得のほか、既存技術ライセンス一式を永久利用する権利、ZHDグループ内での商標・技術利用などが含まれる。
■基本契約の概要(プレスリリースより引用)
・ Yahoo!およびYahoo!JAPANに関連する日本での商標権の取得
・ 従来の技術ライセンスの対象一式を永久利用する権利と関連サポートの取得
・ ZHDグループ内での日本におけるブランド使用および技術の利用
・ 「ヤフージャパン ライセンス契約」の終了
・ 上記に対する対価は1,785億円
今回取得したYahoo!等の商標・技術の利用権利は、国内に限定される。Apolloへの売却後も、Verizon Mediaのメディア事業は社名を「Yahoo」と改めて事業継続する予定で、ヤフーとの協力関係も維持していくという。
ヤフーはここ最近、Yahoo! JAPANのビッグデータを活用し企業データと組合わせてデータ分析を行う「データソリューションサービス」に力を入れている。「時系列キーワード」という、特定のキーワードを検索したユーザー群が前後でどんなキーワードを検索しているかが分かる機能も追加されたばかり。より機動的になったヤフーの今後の事業展開が期待される。