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2025.12.23
知財ニュース
株式会社築と株式会社オノコム、日本初、2階建て3Dプリンター住宅の建設を完了―20社以上の共創と産学連携で実現

株式会社 築、株式会社オノコムは、宮城県栗原市にて日本初となる2階建て3Dプリンター住宅の建設を完了した。建設・材料・機械・技術など、国内外20社以上の協賛・協力企業が技術を結集して実現したもの。
これまでの国内3Dプリンター(3DCP)建築では、建築基準の観点から、国内での建設事例は主に平屋に限られてきた。しかし今回、構造の強度、設計の自由度、安全性という多層階ならではのハードルをすべて突破。日本で初めて3DCPによって「基礎から2階建て構造体まで」を現場で一体印刷した住宅の建設を実現した。
従来、基礎・構造・仕上げは別工程で複数業者が分業してきたが、同事例ではそれらをRC・鉄筋を除く大部分の工程を一台の3Dプリンターで、一貫施工している。
内装にはSpacewasp社の樹脂系3Dプリンターによるキッチン、積彩社によるインテリアを採用し、「テクノロジー×デザイン」が一体となった先端技術との融合を確立。材料はタイの大手建材メーカーSiam Cement Group社が開発した3Dプリント専用モルタル材料を採用。日本の建築基準や気候条件に合わせた調整を行い、大型3Dプリンターと組み合わせることで、精度と安全性の両立を実現している。
さらに、壁は意匠デザイン・構造フレーム・設備スペースが一体化した三層構造をワンステップで成形。この「多機能壁」の一括施工により、現場の工程が激減し、設備配管の自由度が向上、施工ミスやバラつきも最小限に抑制されているという。
日本では多くの住宅が2階建であることから、将来的に量産環境が整えば価格が下がり、消費者にもメリットがある。今回の取り組みにより、居住者のニーズに応えながら、コスト削減と高い再現性を同時に実現できるようになった。株式会社 築は「この技術を軸に、日本から世界へ、次の建設モデルを発信していきたい」、株式会社 オノコムは「将来的には、商業施設の印刷といった大規模な建築プロジェクトや、コンクリート以外の樹脂素材を用いたインテリア製造など、建築の枠を超えた幅広い部分で3Dプリンタ技術等の先端技術の可能性を追求していく」と展望を語った。
Top Image : © 株式会社 築


