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2022.10.06

知財ニュース

理研らのグループ、遠隔操作と再充電可能な「サイボーグ昆虫」を開発─昆虫の動きを損なわず電子部品を実装

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理化学研究所、早稲田大学大学院創造理工学研究科、シンガポール南洋理工大学らによる国際共同研究グループは2022年9月5日、光エネルギーで充電できる電子部品を搭載した「サイボーグ昆虫」の開発を発表した。

「サイボーグ昆虫」とは、頭部や背部に取り付けられた電子部品により、動きを遠隔操作できる昆虫。本研究では、体長約6cmのマダガスカルゴキブリを使用し、昆虫の胸部背側の曲面に沿って柔らかいバックパックを介して無線移動制御モジュールとリチウムポリマー電池を、腹部背側には厚さ4マイクロメートルの超薄型有機太陽電池モジュールを、それぞれ装着した。

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胸部背側のバックパックは、弾性ポリマーを素材に3Dプリントされたもので、マダガスカルゴキブリの正確な3Dモデルに基づいて設計。また、超薄型有機太陽電池の接着には、接着剤を貼りつける部分と貼りつけない部分を交互につくる「飛び石構造」が採用され、昆虫の動作を損なわない構造を実現した。また、バックパックと昆虫が接する部分の設計には、胸部背側の曲面形状と一致する柱状構造を採用。これにより、昆虫の個体間の形状の違いによらず完全にフィットし、硬い電子デバイスでも安定的に実装できる。なお、研究チームによれば、この接着方法は、繁殖環境下でも電子部品を搭載した状態で、1カ月以上維持できるという。

また、バックパックからはゴキブリの尾部分の感覚器官(尾葉)に向かって銀ワイヤが伸びており、刺激信号を送ることでゴキブリの動きの制御が可能。背側の太陽電池により、昆虫の寿命が続く限り実装でき、電池切れの心配もないため、長時間かつ長距離の活動が見込めるという。

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研究グループは、都市型捜索救助、環境モニタリング、危険地域の検査などでの使用を想定しており、行動制御を目的とした小さな集積回路を備えたサイボーグ昆虫も提案している。今後、より薄型化された制御回路でセンサーなど他のコンポーネントと組み合わせることで、サイボーグ昆虫の機能をさらに拡大できるとしている。

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Top Image : ©︎ 国立研究開発法人 理化学研究所

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