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2025.11.10

知財ニュース

ファミリーマート、効果を上げた「涙目シール」に新キャラを追加し、フリー素材化を開始―社会全体で食品ロスゼロを目指す

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株式会社ファミリーマートは、重点テーマの一つ「食の安全・安心、地球にもやさしい」を体現する取り組みとして、食品ロス削減施策「ファミマのエコ割・涙目シール」を拡張する。2025年10月22日(水)から、新たに4種類のデザインを加えた「涙目デザイン」のイラストを、フリー素材として無償公開した。

「涙目シール」は、単なる値下げシールにとどまらず、「たすけてください」というメッセージと涙目キャラクターを添えることで、消費者に共感を呼びかける仕組みだ。お客さまと一緒に食品ロス削減に取り組むことを目的に開発されたコミュニケーションツールであり、ユーモアと感情を通じて行動変容を促す点が特徴となっている。

2024年10月の実証実験では、従来シールと比べて購入率が上昇。試算では、全国展開により年間約3,000トンの食品ロス削減につながる可能性が示された。この結果を受け、2025年3月には全国での導入が始まった。「値下げ商品を買うのは恥ずかしかったが、助けるためと思えば購入できた」という声も寄せられ、涙目シールが値下げ品への心理的ハードルを下げる効果を示した。

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全国展開後、2025年4月に都内10店舗で実施した検証では、平均で購入率が4ポイント上昇。中には10ポイントを超えた店舗も見られた。 「値下げ額だけのシールより買いやすい」といった消費者の声も多く、感情的な共感が購買行動を後押ししていると分析されている。また、店舗の食品廃棄量も前年同月比で約5%減少(2025年4月〜9月実績)。他施策と合わせて、着実に食品ロス削減を進めている。

今回の新展開では、ファミリーマートが「涙目シール」のイラストをフリー素材として提供開始。既存デザインに加え、新たにパン・肉・魚・ケーキの4種類のキャラクターを追加した。 素材は同社公式ウェブサイト内のサステナビリティページで無償ダウンロードできる。

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公式ウェブサイト:
https://www.family.co.jp/sustainability/material_issues/environment/circulation.html#store

ファミリーマートは、業種や業態を問わず「食品ロスを減らしたい」という想いを行動に変えるきっかけとして、この素材を広く活用してほしいと呼びかけている。今後は飲食店・小売店・自治体との連携も視野に、誰もが気軽に参加できる食品ロス削減の仕組みとして展開を広げていく。

本プロジェクトのクリエイティブディレクターを務めた砥川直大氏(The Breakthrough Company GO)は、取り組みへの想いと今後の展開について以下のようにコメントした。

食品ロスの削減が重要なのは、「食べられるものを捨てるのはもったいない」という倫理的な問題以上に、その廃棄過程で大量のCO₂が排出されることにあります。ただ、そのようなことを論理で語ったとしても食品ロスが大きく減るわけではありません。

ファミリーマートをはじめ、これまで多くの企業が割引という”損得勘定”で廃棄間際の食品の購入を促していましたが、涙目シールは、多くの日本人が持つ「もったいない」という”感情”に訴えかけ、「やすいから買う」ではなく、「助けたいから買う」を生み出しました。

実証実験からはじめたプロジェクトが、全国展開され、実際に食品ロスの削減につながり、つまり店舗の売上にも貢献。こうした効果を受けて、誰もが使えるフリー素材にすることに踏み切ったファミリーマートの姿勢には、企業としての勇気と社会への誠実さが感じられます。

涙目シールは、「企業が課題(食品ロス)を隠さず、正直に”助けて”と訴え、それに消費者が応える」という感情的なつながりを生み出すことができた事例です。適切な呼びかけと工夫で、企業と消費者が一緒になって社会課題の解決に協力していけることを提示することができたという意味で、大きな意義がある取り組みだと思います。
(The Breakthrough Company GO クリエイティブディレクター/砥川直大)

新「涙目シール」実施店舗(2025年10月末現在)

  • 目黒区役所レストラン(東京都目黒区上目黒2丁目19-15)

  • 福祉の店 Sun Marche(お弁当・ケーキ・パン等/東京都目黒区目黒本町1丁目14-24)

  • 福祉の店 COHANA(パン・ケーキ・お菓子等/東京都目黒区八雲1丁目1-10)

  • しいの実社 目黒本町店(パン/東京都目黒区目黒本町2丁目7-3 もえぎの会)

  • しいの実社 学芸大学店(パン/東京都目黒区鷹番2丁目4-9)

  • 喜風堂(和菓子/東京都目黒区上目黒2丁目6-12)

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ファミリーマートは、環境中長期目標「ファミマecoビジョン2050」を掲げ、店舗での食品ロス削減を中核課題として位置づけている。これまでに、商品のロングライフ化や発注精度の向上、「てまえどり」の継続実施など、さまざまな施策を進めてきた。特に2021年7月から導入した店舗値下げシステム「ファミマのエコ割」は、全国の9割以上の店舗で活用されており、期限間近の商品を適正に販売できる仕組みを整えている。

「ファミマecoビジョン2050」では、2030年までに食品ロスを50%、2050年までに80%削減することを目標に掲げる。ファミリーマートは、店舗の枠を超えて地域・消費者・社会と連携し、食品ロスのない未来を目指した取り組みをさらに加速させていく。

公式プレスリリースはこちら

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