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2025.11.04
知財ニュース
JAXA、次世代宇宙船「HTV-X」の最新動画を公開、初号機を10月打ち上げへ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)への物資輸送を担う次世代宇宙船「HTV-X(エイチティーブイ・エックス)」の1号機打ち上げを、2025年10月に種子島宇宙センターから行う予定であることを明らかにした。JAXAは、HTV-Xの最新映像を公開し、開発の進捗や新機能の概要を紹介している。
次世代宇宙船「HTV-X」は、2019年まで運用された先代の補給機「こうのとり(HTV)」の後継機で、これまでの開発、運用の経験、知見を活かした世界最大級の補給船だ。
全長約8メートル、重量は約16トンの宇宙船で、世界的にも大型の補給船に位置づけられる。ISS計画に不可欠な大型機器や宇宙飛行士の生活を支える水、食料、実験装置などの物資を輸送するほか、廃棄物の回収・処理も担う。また、よりスマートな設計、運用をすることでコストを低減し、費用対効果が非常に高い宇宙船となっている。
従来機からの改良点として、船体の軽量化や与圧モジュール(居住環境下の貨物室)容量の拡大が挙げられる。内部は棚構造を採用し、積載効率を向上。さらに貨物への電源供給機能を備えることで、冷凍・冷蔵装置や実験機器など電力を必要とする物資にも対応可能となった。
与圧カーゴは、スペースをより効率的に活用できる棚構造を採用し、「こうのとり」よりもたくさんの与圧カーゴの搭載が可能。「HTV-X」本体の軽量化によって、より重い物資を運べるようになっている。
与圧モジュール内に荷物用の電源が用意されており、「こうのとり」では積めなかった、冷凍庫や実験装置などの電源が必要な荷物に対応することができる。また、打ち上げ直前の最終の搭載が24時間前まで搭載可能になり、より幅広い生鮮食料品や鮮度が重要な実験サンプルを搭載できるようになる。
また、打ち上げ直前の「ラテロード(Late Load)」機能を強化し、発射24時間前まで貨物搭載が可能になった。これにより、生鮮食品や時間依存性の高いサンプルなども、鮮度を保ったまま輸送できるようになる。
HTV-Xは、単なる輸送船としてだけでなく、ISS補給後に軌道上で継続利用できる「技術実証プラットフォーム」としても設計されている。
ISS離脱後、最長約1年半にわたり軌道上での実験や観測を行うことができ、将来の宇宙探査や衛星技術開発に向けた実証機会の提供を想定している。
JAXAは、アメリカを中心に進められている月周回宇宙ステーション「ゲートウェイ」構想にもHTV-Xの技術を応用する可能性を検討しており、国際的な宇宙探査活動への貢献を目指している。
Top Image : © 宇宙航空研究開発機構
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