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2025.10.02

知財ニュース

トヨタとGab、炭化技術「.Garbon」で資源循環へ―廃棄物を炭化し素材化する新技術

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株式会社Gabは、廃棄物を独自のプロセスで炭化し、廃棄物をゼロにする新たな循環ソリューション「.Garbon」を開始した。

これまで再利用が難しかったあらゆる廃棄物を、炭化技術によって人工皮革などの「選べる素材」に変換する画期的な取り組みとなる。トヨタ自動車のカーボンニュートラル推進活動のひとつである、TOYOTA UPCYCLE プロジェクトと実証を開始する。

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「.Garbon」は、プラスチック、衣類、食品の残りかすなど、これまで焼却するしかなかった有機系の廃棄物を、酸素を使わずに加熱して熱分解する「炭化技術」で、酸素を大量に使用しないため、CO₂排出量を約30〜50%抑えながら、均質な炭の粉末へと変換する。

この炭の粉末は単なる黒色顔料としてだけでなく、消臭や抗菌、遠赤外線効果といった機能も持ち合わせており、用途に応じて人工皮革や建材、繊維といった様々な高付加価値素材として再利用が可能。

同プロセスにより、企業は廃棄物量とCO₂排出量を減らし、資源の循環率を高めると同時に、新たな収益を生み出すこともできるようになるという。

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特に注目されるのが、廃棄物由来の炭の粉末を配合した人工皮革「.Garbon Synthetic Leather」。廃棄物由来の炭の粉末を樹脂に配合することで消臭・抗菌などの機能性が向上しており、高い耐久性やデザイン性、機能性を持つ。レザージャケットやシューズ、バッグ、名刺入れなどのファッションアイテムや、インテリア、内装建材まで、レザーを使用するアイテム全般の幅広い用途が期待されている。

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日本では毎年大量の焼却灰が埋め立てられ、このままでは埋め立て容量が限界に達すると予測されており、廃プラスチックの海外輸出も環境問題を誘発。従来の3R(リデュース・リユース・リサイクル)だけでは対応が難しい中で、「.Garbon」は廃棄物を再び資源として活用する「Next Cycle」という新たな循環手段を提供する。

すでにトヨタ自動車のカーボンニュートラル推進活動の一環である「TOYOTA UPCYCLEプロジェクト」との実証実験も開始されており、自動車製造工程で発生する廃棄物の資源循環モデルを構築する取り組みも推進中。

今後は、自動車業界だけでなく、ファッション、建材、日用品など多様な業界への展開を目指し、社会全体で廃棄ゼロを実現する「ゼロウェイストコンソーシアム」の構想も計画。「.Garbon」の始動は、企業が抱える廃棄物問題の解決と、CO₂排出量の削減を同時に実現し、廃棄物が出ない社会を目指す「第4の解決策」として注目を集めている。

プレスリリースはこちら

「.Garbon」公式サイト

Top Image : © 株式会社 Gab

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