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2026.01.16
知財ニュース
コーネル大学、極楽鳥の羽をヒントに“最も黒い物質”「ウルトラブラック」の製造技術を開発

コーネル大学は、製造が難しいとされる「ウルトラブラック」を簡単に製造できる方法を開発した。この研究論文は11月26日のNature Communicationsに掲載された。
「ウルトラブラック」は、入射光の0.5%未満しか反射しない黒色で、カメラ、太陽電池、望遠鏡など様々な用途に使用されている。しかし、製造が難しいとされており、色の見た目も斜めから見ると黒さが薄くみえることもあるのだという。コーネル大学の研究チームは、この「ウルトラブラック」を簡単に製造する方法を開発した。
「ウルトラブラック」の開発は、オオウロコフウチョウと呼ばれる鳥からヒントを得たのだという。研究チームは、コーネル大学鳥類学研究所からオオウロコフウチョウの羽毛を入手し、この羽毛を分析した。
オオウロコフウチョウの黒い羽毛は、非常に興味深い階層構造、小羽枝を持っており、メラニン色素と密集した羽枝によって形成されている。これにより、羽枝は光を内側に反射させ、ほぼすべての光を吸収するため、オオウロコフウチョウは、正面から見ると真っ黒に見えるが、斜めから見ると、羽毛は光沢を帯びて見える。
研究チームは、「ウルトラブラック」の製造において2段階のアプローチを採用。白いメリノウールの生地をポリドーパミンと呼ばれる合成メラニンで染色し、その生地をプラズマチャンバーでエッチング処理してナノフィブリル(ナノスケールの尖った構造)を作製した。これは、オオウロコフウチョウの羽毛に見られる能力を模倣したもので、当たる光のほとんどを吸収する。
この開発した生地を分析したところ、平均全反射率は0.13%で、これまで報告された中で最も暗い生地であることがわかった。また、120度の範囲にわたって、正面から見ても横から見ても最大60度の角度で色を維持することができたのだという。
昨年秋、ファッションデザイン・マネジメント専攻(CHE)のゾーイ・アルバレス氏が、コウモリガラスにインスピレーションを得た黒のストラップレスドレスを制作した。ドレスの中心部分には、ウルトラブラック素材を使用した。ウルトラブラックの真の「黒さ」を確認するためにドレスの画像が使用されたが、画像のコントラスト、色相、鮮やかさ、明るさを調整すると、他の色はすべて変化したが、ウルトラブラックはそのままだった。
この論文の著者の1人であるHansadi Jayamaha氏は「光は基本的に繊維の間を往復し、反射して戻ってくることはありません。これがウルトラブラックの効果を生み出すのです」と述べている。
この超黒色生地は、吸収した光を熱エネルギーに変換・利用するなど、太陽熱利用の様々な用途の可能性を秘めているという。また、この技術に関して、暫定特許を申請しているとのことだ。
Top Image : © Cornell University


