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2023.12.11
知財ニュース
防衛装備庁、レールガン(電磁砲)の実験動画を公開─世界初の洋上射撃を実施
防衛装備庁は2023年12月1日、開発中のレールガン(電磁砲)についての近況を報告する動画をYouTubeに掲載した。
レールガンは電気エネルギーにより磁場を発生させ、弾丸を打ち出す兵器。火薬を用いた従来の火砲と比較して、弾丸の初速を大幅に速められるのが最大の特徴で、飛翔の安定性と威力を検証した2023年の実験では、艦艇を模した複数枚の鋼板の貫通に成功したという。
レールガンの仕組みは具体的には、並行する2本のレールの間に電機子と弾丸の接合体を配置。この電流経路にパルス状の大電流を流すことでレールの周りに強力な磁界を発生させる。これにより電機子に電磁力が働き、弾丸が電機子とともに加速され、高速で発射される。
同庁では2016年度に電磁加速システムの研究試作を開始。2021年までに口径40mmの中型レールガンを試作している。実験では、高速な戦車砲の1750m/秒を上回る2297m/秒(約マッハ6.6)の弾丸初速を達成し、重量約320gの弾丸を発射できる能力を証明した。
レールガンはこれまでに世界中で研究されてきたが、実用例はまだない。また、レールガンの開発を10年以上続けてきた米海軍は、陸上での実験は成功したものの、艦艇搭載型の開発には至らず、2022会計年度への予算計上を断念している。
なお、同庁は、最新の研究結果を11月に開催された「防衛装備庁技術シンポジウム2023」で公開。同庁は今後も早期装備化に向けて研究を進めるとしている。
Top Image : © 防衛装備庁