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2025.12.18
知財ニュース
世界最大級の砂電池を計画、フィンランドで産業用蓄熱プロジェクト始動

フィンランドのエネルギーテクノロジー企業Polar Night Energyは、フィンランドのラハティ市が所有するエネルギー企業Lahti Energiaと、貯蔵容量250MWh規模の産業用砂電池を建設することで合意したと発表した。
砂電池(サンドバッテリー)は、砂などの鉱物系材料を蓄熱媒体として使用し、エネルギーを熱として蓄える大規模な高温熱エネルギー貯蔵システムだ。
砂電池の建設プロジェクトは、Polar Night Energyが主契約者となり、現場での作業は2026年初頭に開始予定で、2027年夏の完成を目指している。完成すれば高さ約14メートル、幅約15メートルになるとのこと。加熱出力は2MW、貯蔵容量は250MWhで、完成時点では世界最大級の砂電池となる見込みだ。この砂電池は、Lahti Energia社のヴァークシ(Vääksy)地域の暖房ネットワークに熱を供給するとしている。
この砂電池によって、天然ガス使用量は最大で約80%削減できる可能性があり、木材チップ消費量の大幅な減少により、地域全体のCO₂排出量を最大で年間約60%削減できる可能性があるとされている。砂電池のエネルギー貯蔵媒体は、地元で入手可能な約2,400トンの天然砂を中心とした鉱物系材料で、500℃を超える温度での蓄熱を可能にする。
同社は、すでにフィンランドのポルナイネン(Pornainen)において砂電池を建設し、稼働を開始している。この砂電池は、ソープストーン(滑石)を含む鉱物系材料を蓄熱材として利用したもので、Loviisan Lämpö社との共同で建設された。
Lahti EnergiaのCEOであるヨウニ・ハイカライネン氏は、「お客様に手頃な価格の地域暖房を提供し、再生可能エネルギーを熱生産に活用したいと考えています」、「天候に左右されるエネルギー系統のシェアが増加するにつれ、砂電池は電力需給バランスの維持に貢献するでしょう」と述べている。
Top Image : © Polar Night Energy


