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2023.04.21

知財ニュース

アドビ、Premiere ProにAI編集追加─テキストのコピー&ペーストで動画編集など多数機能追加

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米アドビは現地時間4月13日、動画編集ソフト「Adobe Premiere Pro」の大幅アップデートを発表した。23年5月から一般提供を開始する。

今回のアップデートでは、AIを用いてテキストから動画を編集できる「文字起こしベースの編集」機能や、タイプの異なる映像のトーンを自動調整する「自動トーンマッピングとLogカラー検出機能」など、新技術を多数搭載。新たな編集機能の追加に加え、画像処理機能とワークフローの強化も図り、同製品史上最速を実現している。先行して提供しているベータ版では「文字起こしベースの編集」など一部機能の使用が可能だ。

また同時に、モーションデザインソフト「Adobe After Effects」でも映像制作・編集のパフォーマンス強化となるアップデートを実施する。

映像コンテンツの需要は、近年増加し続けている。過去2年間では2倍に拡大し、今後2年間では5倍の成長が見込まれているという。そうした流れを受け、アドビは今回のアップデートを実施。最新技術を用いてワークフローを改善し、クリエイターの創造的な制作を支援するという。

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Premiere Proの新機能「文字起こしベースの編集」には、同社の人工知能プラットフォーム「Adobe Sensei」を搭載。AIでソース映像を分析して文字起こしを行い、テキストをもとに動画編集する新たなワークフローを提供する。

使いたい動画シーンは、AIが生成したテキストの該当箇所を選択して挿入ボタンをクリックすれば、データ編集を行う”シーケンス”に追加できる。シーケンスへ追加した後も編集可能で、テキストをコピー&ペーストして入れ替えたり、削除するなどの編集を加えることができる。

さらに検索窓で単語・フレーズを探すことも可能。動画から特定シーンを見つけたい場合でも、動画を再生して確認する必要がなく、文章から探し出せる。文字起こしした文章からキャプションを生成する既存機能もこれまで同様に使用できる。

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「自動トーンマッピングとLogカラー検出機能」は、異なるタイプのHDR映像を同じSDRプロジェクトにいれても、一貫した色彩の映像を維持できる機能。

iPhone HLG ビデオなどの HDR映像は、標準的なシーケンスでは色彩が吹き飛ばされて見えるが、自動トーンマッピングではHDR カラー値を再計算して色彩を保つ。Panasonic Log、Sony S-Log、Canon LogなどのLog映像は、Logカラー検出機能の設定をオンにすればトーンマッピング可能。いずれもLUT(ルックアップテーブル)によるカラー調整や映像バランスの手動調整が不要となる。

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その他、基本機能も強化。バックグラウンドでの自動保存や起動時のリセットオプション、プラグイン用のエフェクトマネージャーなどの新機能を追加している。またAVCイントラやARRI、REDなどの撮影フォーマットに対するためGPUアクセラレーションを行い、高速化・円滑化を実現。8K映像も扱えるという。

またユーザーからの要望に応えて、RED V-RaptorX、ARRI Alexa 35、Sony Venice v2カメラのフォーマットサポートも強化。同様に要望が多かった、Speech to Textの言語サポート範囲も拡大する。オランダ語、ノルウェー語、スウェーデン語、デンマーク語などを追加し、計16言語に対応。さらにデベイヤリングとトランジション効果のGPU高速化、よりシンプルなトラックターゲット、Media Encoderへの直接書き出しとレンダリングも追加している。

共同編集機能も強化している。シーケンスロックでは、編集中のシーケンスにロックがかかり、他者は「閲覧モード」で変更できなくなる。共有プロジェクトで誰が作業しているかを表示する「プレゼンスインジケーター」も追加。さらにオフライン作業後、オンラインに戻った際に他のエディターの作業を上書きせずに変更箇所を公開する機能も加わった。

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30周年を迎えたAfter Effectsのアップデートでは、Adobe IllustratorやAdobe Photoshopのパネルをベースとした、新しいプロパティパネルを採用。選択した内容に応じて、重要なコントロールが自動的に表示される。それにより、従来のようなタイムラインを移動しながら階層を掘り進めて設定を探す必要が無くなり、新規ユーザーでも使いやすい仕様となった。

また、幅広い色域をカバーするACES(Academy Color Encoding System)を刷新。ACESをネイティブに操作するカラーマネジメントシステムのOpenColorIOにより、他のポストプロダクション用ツールとアセットを共有する際でも、一貫したカラーを維持できる。それにより、時間と労力をかけずにフォトリアルな映像の作成が可能となっている。

なお、Premiere Pro、After Effectsの本アップデートについては、23年4月15日~19日に開催された「2023 NAB Show」で展示された。

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Top Image : © アドビ 株式会社

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