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2025.12.04

知財ニュース

ヤマハ、ハンドルもシートもない自ら成長するバイク「MOTOROiD:Λ(モトロイド ラムダ)」を公開―Japan Mobility Show 2025

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ヤマハ発動機株式会社は、AI技術によって学習し、自ら成長するモビリティ「MOTOROiD:Λ(モトロイド ラムダ)」を「Japan Mobility Show 2025」で初披露した。

「MOTOROiD:Λ(モトロイド ラムダ)」は、前後に2つのタイヤが備わっているが、ハンドルもシートも持たず、異形とも言える見た目のモビリティだ。同社は、このモビリティは、「モビリティ×強化学習による運動制御」という未開拓の領域に踏み込み、二輪の世界を刷新し、まったく新しい未来を創る実験機だとしている。

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同社は、2017年に自立してライダーに歩み寄る実験機「MOTOROiD(モトロイド)」を発表、2023年にはヒトとマシンが呼応し合う「MOTOROiD2(モトロイド2)」を発表していた。これらに共通していたものは、前後輪の間に配置されたアイコニックなバッテリーの存在だ。このバッテリーをカウンターウェイトとしてマシンを自立させていたのがAMCESと呼ばれるバランス制御技術だった。

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しかし、今回披露された「MOTOROiD:Λ(モトロイド ラムダ)」は強化学習とSim2Realといった全く別の技術に置き換えられている。これはコンピュータ上の仮想環境でAIが高速でシミュレーションと学習を行い、その学習結果を現実世界に適用する技術だ。「立ち上がる」「直進する」「段差を超える」など、ひとつひとつの動きをAIが試行錯誤を繰り返し強化学習することで、自立走行を獲得している。

走るほどに実機に情報をフィードバックして自己学習し、成長を繰り返す。実際に開発中の段階でも、設定した課題に対してAIが開発陣も想定しなかった制御方法でクリアし、驚かされたことがあったのだという。

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強化学習によって獲得されたニューラルネットワークを脳とすると、その指令を発動する肉体が、2つの可動軸を持つボディだ。それぞれの可動軸のモーターと前後輪の駆動モーターが連携することで、まるで脊椎動物が筋肉で骨格を動かしているかのような生命感のある所作を生み出している。

センターの開閉軸から延びるフロントとリアのアームは、モーター、コンピュータ、バッテリー類を内蔵しながら驚くほどスリムに仕上げられており、ゆるやかなアーチを描いて前後輪へとつながっている。これがこのモビリティ特有の外骨格のように有機的なプロポーションを確立している。

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この開閉軸が180度まで開くとホイールベースが最大長となり、前後輪の軸はアームによってS字曲線で結ばれる。180度に展開した姿勢から、自らの判断で各部モーターを適切に駆動して車体を起き上がらせ、バランスを保ちながら自立することができる。

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「MOTOROiD:Λ」は人が乗ることを前提としてはいないが、「人とマシンが共にある」ことを強く意識してデザインされている。全体的に角を取り曲面で構成されているのは、人への安全性を考慮したためだ。同時に、マシンの転倒時にパーツの破片が飛んだり、車体がダメージを受けにくいよう耐久性を強化した結果でもあるのだという。

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また、人とマシンの意思伝達を視覚で表現するために、離れた距離にいてもマシンの存在や前進・後退などの動きを直感的に認識できるように、光の色やコントラスト、点滅する速度などが刷新されている。

「モトロイド ラムダ(MOTOROiD:Λ)」についてはこちら

「Japan Mobility Show 2025」出展についてはこちら

Top Image : © ヤマハ発動機 株式会社

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