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2021.01.29
知財ニュース
『京アニ放火事件』で疑問感じた中学生が発明。日本初、緊急時に室内から外せる窓の格子柵
2019年7月18日に京都府京都市伏見区で発生した『京都アニメーション放火殺人事件』。36人が死亡、33人が重軽傷を負い、日本中を震撼させました。
この事件が世間に与えた影響は様々ですが、「このような悲劇を繰り返さないために」と、中学3年生の若き発明家が画期的な発明したことをご存知でしょうか?大人も驚く斬新な発想で、様々な発明品を作る原動力は、困っている人を助けたいという思いでした。
岐阜県中津川市に住む稲垣龍樹さん(15)が発明したのは、火災などの際に室内から外せる機能を付けた、住宅の窓に取り付ける防犯用の「格子の柵」。この格子柵は室内側、窓の下に「クランプ」と呼ばれる留め具が付いており、柵を室内から簡単に取り外すことができる。こだわりは、女性でも子どもでも道具を使わずに簡単に取り外せること。
『京都アニメーション放火殺人事件』では、格子柵に阻まれ逃げ出せなかった人がいたことが判明しています。命を守るためのものが、逆に命を奪う…その疑問を突き詰めた結果、この格子柵が生まれました。
この発明品は中学生が社会性の高い問題に取り組んだこと、盗難対策と避難対策の観点から安全性・防犯性の2つを兼ね備えたこと、それにクランプを取り入れた構造が評価され、「世界青少年発明工夫展」で銀賞を受賞。格子窓などを扱う硝子店社長からも称賛を浴びました。
硝子店の社長: 「すごいなと、壁に穴をあける感覚が、建設業界の人間にまずない発想。到底思いつかなかったですね。メーカーに見せたいですね」
「困っている人を助けたい」その一心で、中学3年生の少年が大人では想像もつかない発明品を生み出したのです。
ちなみに、龍樹さんの子どもとは思えない発明品は他にもあります。
10歳の時、母親からのリクエストで伸び縮みするテーブルを制作。炊飯器を置く収納台のレールからヒントを得て、ばね付きの金具で簡単に固定できる、使い勝手のいいテーブルです。
小学2年生の時には、目の悪い祖父のために普通のものの5~6倍はある黒い大きな将棋盤を制作。黒の盤に白の駒で、色がハッキリと分かるように工夫しています。
これを受けて、龍樹さんのご家族からも嬉しい声が。
祖父の原田熱士さん: 「嬉しいですよ。絶えずそういう風に思ってくれているからね。人の役に立つようなものを考えてくれたらいいなと」
父親の祐樹さん: 「好きなことをなんでも自由にやらせていますので、どれか一つ伸びてくれればいいなと」
「自由に好きなことを」その方針が、小さな発明家を生み出しました。龍樹君は将来、プログラマーを目指しているといいますが、発明は続けていきたいと話します。きっとこれからも、大人にはない新しい発想で、困っている人を救う発明品を生み出してくれるのではないでしょうか。