News
2024.05.01
知財ニュース
日本初、腸内細菌ドナー募集開始─メタジェンセラピューティクスが腸内細菌叢バンク開設
腸内細菌研究に基づいた医療・創薬を推進するメタジェンセラピューティクス株式会社は、日本初(※)の腸内細菌叢バンク「J-Kinsoバンク」の運用を4月2日より開始し、腸内細菌ドナーの募集を開始した。
(※腸内細菌を用いた医療技術および医薬品の研究開発への活用を目的とした腸内細菌叢バンクとしては日本初。同社調べ(2024年4月2日時点))
「J-Kinsoバンク」は、日本初の、腸内細菌を活用した医療技術や医薬品の開発を目的とした腸内細菌叢バンク。
「J-Kinsoバンク」では便を提供する「腸内細菌ドナー」を募集してスクリーニングを実施するもので、採用されたドナーの便は、腸内細菌の抽出等の製造工程を経て、腸内細菌叢移植(Fecal Microbiota Transplantation、以下FMT)の臨床試験に使用されるほか、腸内細菌を活用した医薬品の研究開発にも活用される。
腸内細菌叢の乱れは、がん、潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、アレルギーなど、さまざまな疾患と関連することが明らかになっている。世界では腸内細菌を「医療」において活用する動きが広がっており、米国やオーストラリアでは腸内細菌による医薬品が承認されてきた。
日本では、2023年1月より先進医療Bとして潰瘍性大腸炎を対象とした「抗菌薬併用腸内細菌叢移植療法」が承認され、FMTの有効性・安全性の検証が進んでいる。今後日本では、FMTを社会実装し、腸内細菌医薬品の開発を推進するために、「腸内細菌ドナー」の協力が不可欠だとされている。
今回同社が運用を開始した「J-Kinsoバンク」では、ドナー候補者を募集中。登録希望者は、ウェブサイトにて、ウェブ問診に回答し、安全性基準を満たした場合に「腸内細菌ドナー候補者」として登録される。ドナー候補者のうち、医療機関での適格性検査を通過した人々のみ、正式に「腸内細菌ドナー」としての便の提供が可能となる。
なお、同社では、すべての検査を通過し「腸内細菌ドナー」となるのは、ウェブ問診回答者のうち約10%と推定しているとのこと。
Top Image : © メタジェンセラピューティクス 株式会社