News
2021.12.05
知財ニュース
リコー発スタートアップ ベクノスの360度カメラ「IQUI(イクイ)」がアメリカTIMES誌「2021年の発明品ベスト100」に選出
リコーからスピンアウトしたベクノス株式会社が製造・販売する360度カメラIQUI(イクイ)が、アメリカのニュース雑誌「TIME」が発表した「THE BEST OF INVENTIONS OF 2021」の1つとして選出された。
「THE BEST OF INVENTIONS」は、その年の画期的な発明を表彰するために「TIME」誌の編集者・記者による推薦や、オンラインによる受付を経て、独創性、創造性、影響力、先進性などの観点で候補者が評価され、毎年100品目が選定されるもの。今年の選定品の1つとして、IQUIは「究極の自撮り棒(Ultimate Selfie Stick)」として紹介されている。
IQUIは、革新的な4眼レンズにより、これまでにない小型軽量のペン型デザインを実現した全天球カメラだ。一般的な360度カメラのほとんどはデュアルレンズが採用されており、1つが前面を、もう1つが後面の視界をとらえ、デュアルレンズによる360度画像はカメラ視界の端に大きな歪みが生じることが問題であったが、IQUIは4眼光学系の発明によりこれを解消。上に1つ、周りに3つという独自の4眼構成で360度画像・動画の歪みを軽減している。
また、これまで360度を撮影した全天球カメラの写真や動画をオンラインで共有するには、データを平面に変換しなければならなかった。IQUIは独自のアルゴリズムによる自動編集で、誰でも簡単に360度の写真・動画を撮影し共有ができる。アプリ側の自動編集機能でSNSなどに上げやすくする点は評価も高く、4眼レンズへの評価と併せて2020年度グッドデザイン賞で特別賞を受賞していた。
この他にも、IQUIは誰もが手に取りやすいカメラにするための様々な工夫が施されている。持ち運びに特化したスリムなデザイン、3つのボタン(電源ボタン、シャッターボタン、写真・動画モード切り替えボタン)による簡易操作、60gという軽さ、専用アプリIQUISPIN(イクイスピン)によるスマホとの簡単接続とデータ転送や、スマホからIQUIの遠隔操作も簡単に行える。
スマートフォン用写真加工アプリIQUISPIN(イクイスピン)は、360度写真に映る人の「顔の輪郭」「肌の明るさ」「目のサイズ」を自動調整し、美顔効果をもたらすほか、写っている人の顔をAIによって検知するマジック機能を搭載。360度の写真の中からそれぞれの顔に順次フォーカスしながら動くショートビデオをワンタッチで作成できる。IQUIで撮影した写真に動きやエフェクトなどを付加してショートビデオを簡単に作成し、ソーシャルメディアなどで共有することも可能だ。
IQUIを開発したベクノス株式会社は、リコーからスピンアウトし、2019年8月に設立されたスタートアップカンパニー。リコーが2013年に発売した、世界初の民生用全天球カメラの事業立ち上げメンバーが中心となって発足した。ユニークな光学技術と、AIを活用した画像処理技術を統合し、全く新しい映像体験を提供していくとのこと。
Top Image : © ベクノス 株式会社