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2025.03.11
知財ニュース
JR東日本、次期東北新幹線車両「E10系」を発表

JR東日本は、E2系およびE5系新幹線車両の後継となる次期東北新幹線車両「E10系」の設計に着手することを2025年3月4日、発表した。この新型車両は、2027年秋以降に完成し、各種走行試験を経て、2030年度内の営業運転開始を目指す。
E10系は10両編成で、最高営業運転速度は320km/hを予定している。「究極の安全の追求」をコンセプトに掲げ、次世代新幹線開発の試験プラットフォーム「ALFA-X」で検証してきた技術を活用する。具体的には、地震対策として逸脱防止用のL型車両ガイドに加え、ブレーキ距離の短縮や地震時の揺れを吸収し、車両の損傷や脱線を防止するための左右動ダンパを採用する。
乗客の快適な移動空間を提供するため、「TRAIN DESK」を発展させたサービスを導入する。シート配列を2列+2列とし、隣席とのスペースにゆとりを持たせることで、移動時間の有効活用を促進する。また、大型荷物置き場の拡幅や全席への電源コンセント設置により、利便性を高める。さらに、車いす利用者が車窓を楽しめるスペースを設けるなど、バリアフリー環境の向上にも努める。
5号車には荷物輸送用ドアを設置し、スムーズな積み下ろしを可能にする。これにより、途中駅での荷物の積み下ろしなど、「はこビュン」サービスの柔軟性を高める。
環境負荷軽減に向け、車両の状態に応じた適切な保守が可能な「スマートメンテナンス」に対応するシステムを導入する。また、冷却モータが不要なブロアレス誘導電動機(自己通風型誘導電動機)や、車両駆動インバータに高効率なSiC(シリコンカーバイド)素子を採用し、駆動システムの効率向上を図る。さらに、将来的な東北新幹線の自動運転導入を目指し、必要な機能の搭載準備も進める。
車体デザインは、東北地方の山々を想起させる緑色を基調とし、沿線各地の自然から得たインスピレーションを反映している。上部の明るい緑色は「Tsugaru green(津軽グリーン)」、下部の濃い緑色は「Evening elm(イブニングエルム)」と名付けられた。車体横のラインには「桜の花弁」の形状を模した曲線を採用し、新幹線車両のデザインに新たなイメージを加えている。デザインは、英国ロンドンを拠点とする戦略デザインファーム、tangerine社が担当した。
JR東日本は、引き続きお客さま志向で質の高いサービスの実現や、環境負荷軽減に向けた検討を継続し、サステナブルな社会の実現に向けた要素の開発を進めていくとしている。
Top Image : © 東日本旅客鉄道 株式会社