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2023.06.09

知財ニュース

メディアドゥと早川書房、世界初の『NFT電子書籍』付き新書「ハヤカワ新書」を開始─二次流通でも出版社・著者に還元

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メディアドゥと早川書房は共同で、「NFT電子書籍」付き新書の提供を開始する。第一弾として、早川書房が2023年6月に立ち上げる親書レーベル「ハヤカワ新書」の創刊ラインナップ、全5作品で展開する。メディアドゥによると、紙の新書に書籍の本編をNFT化した電⼦書籍が付くのは世界初という。

「NFT電子書籍」は、電子書籍ファイル(EPUB)を用いて提供する。特定のハードウェアに依存しないEPUBは、汎用性が高くスマートフォンのビューアなどで読むことができ、これまでも広く用いられてきた。

NFT電子書籍」の従来の電子書籍との違いは、読者が電子書籍を閲覧する権利をNFTとして保有する点にある。ブロックチェーン技術により、どのユーザーがいつ入手したかがNFTに刻まれるため、誰が閲覧したのか来歴の確認や、持ち主の権利の証明が可能となる。

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保有NFTは、メディアドゥのNFTサービス「FanTop」上でユーザー間での売買が可能。ギフト送信機能を使ってNFTをプレゼントとして譲渡することもできる。

大きな特徴は、ユーザー間の「NFT電子書籍」の売買で、ユーザー間での売買が行われるたびに著作権者や出版社に印税分配を行う仕組みを構築していること。二次流通(売買)によって権利者への収益還元が行われるため、これまで存在しなかった、電子書籍の二次流通の使用料を通じた中古市場の創出が期待されている。

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またNFTサービス「FanTop」では、作品ごとに二次流通時の権利者収益・印税の割合や、譲渡(ギフト送信機能)可否などの設定も可能。著作権者など、権利者の意向に応じて還元度合いを設定できる、クリエイターファーストな環境を構築している。

メディアドゥは、出版社や著作権者などの権利者に対し継続的に適切な収益を還元できるプラットフォームの実現を目指しているという。

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また「NFT電子書籍」は、作品の世界を拡げるような動画や音楽などの付加も可能。そのためメディアドゥは将来的には、書籍原作の映画や、著者が執筆中に聴いていた音楽を追加するなどの展開も見据えているという。

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早川書房は、創刊するハヤカワ新書のコンセプトを「未知への扉をひらく」としている。紙の書籍を介した新しい読書体験として、NFT電子書籍付き新書を刊行するという。

第一弾の発売は23年6月20日を予定。いずれも通常版の値段+400円で販売する。同社は引き続き「NFT電子書籍」付版を提供予定で、今後は動画などの追加も予定しているという。

■ ハヤカワ新書【NFT電子書籍付】版 6月刊ラインナップ ※ニュースリリースより抜粋

・越前 敏弥 『名作ミステリで学ぶ英⽂読解【NFT電子書籍付】』
・⼟屋 健 『古⽣物出現!空想トラベルガイド【NFT電子書籍付】』
・滝沢 カレン 『馴染み知らずの物語【NFT電子書籍付】』
・藤井 直敬 『現実とは? ─脳と意識とテクノロジーの未来【NFT電子書籍付】』
・⽯井 光太 『教育虐待 ─⼦供を壊す「教育熱⼼」な親たち【NFT電子書籍付】』

ニュースリリースはこちら[メディアドゥ][早川書房(1)(2)]
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Top Image : © 株式会社 メディアドゥ

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