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2024.07.08
知財ニュース
鴻池組、大阪・関西万博工事で廃食油からバイオディーゼル燃料を生成、環境負荷軽減
株式会社鴻池組は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)施設整備事業小催事場工事において、SDGs達成に向けた様々な取り組みを行っている。
大阪・関西万博では、「いのち輝く未来社会のデザイン」がテーマ。会場は新たな技術やシステムを実証する「未来社会の実験場」と位置づけられ、同社の建設工事現場においても、環境負荷低減に取り組んでいるという。
同社の主な取り組みは6つ。
1つは、廃食油を鴻池組従業員や飲食店から回収し、植物由来の高純度バイオディーゼル燃料(以下、B100燃料)に生まれ変わらせる取り組み。今まで捨てられていた廃食油を鴻池組の従業員をはじめ、飲食店を含むサプライヤー企業に対しても回収協力を依頼し、万博小催事場工事で使用するクローラークレーンや発電機用の軽油代替燃料(B100燃料)へ生まれ変わらせているという。
次に、掘削重機にリニューアブルディーゼル燃料を使用したカーボンニュートラルへの取り組み。リニューアブルディーゼルは従来のバイオディーゼルと同じ原料から、水素化精製という異なる技術で製造しており、軽油使用時と比べ100%のCO₂削減効果がある。窒素酸化物が低減されクリーンな排ガスにも繋がるという。
3つ目は、「アクアメイク(循環式汚水浄化設備)」を利用した環境保全への取り組み。し尿の運搬・処分に係る車両が削減され、CO₂排出量削減にも繋がる。アクアメイク利用の過程で循環しきれなくなった余剰水が発生するものの、液肥の三要素である窒素とリン酸を多く含むため、植栽用の水に再利用できないかを検討中。
4つ目は、「ソーラーパネル」と「蓄電池」を利用した現場事務所の電力問題解決への取り組み。仮囲いに太陽光パネルを設置し、発電した電力を蓄電池に貯めて、現場事務所などに配置するOA機器、機械警備設備などの24時間給電が必要な設備の夜間電力をまかなっている。
5つ目は、現場から発生した廃プラスチックを3Dプリンターの材料としてリサイクルする取り組み。現場で発生した、PPバンドなど廃棄予定の使用済みプラスチックごみやプラスチックの破片などを原材料として利用し、サーキュラーエコノミーの実現に挑戦する。CO₂排出量の低減やプラスチックごみの処分問題への対策が期待されている。
最後に、本体建屋耐圧版下に本設設置されるEPS(大型の発泡スチロールブロック)再利用への取り組み。新築時に施工する建物の耐圧版の下に、土の代替としてEPSを敷設することで、土やコンクリートの約1/100の密度で盛土荷重を低減させ、軟弱地盤の沈下防止、そして支持力不足を解消する。
使用したEPSは本会期終了後の解体時には、他の建物や構造物の断熱材としての利用や土木工事の軽量盛土工への流用を想定し、資源の有効活用を目指していく。
Top Image : © 株式会社 鴻池組