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2024.05.27

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ブラックホールに落ちたらどうなるのか―NASA、シミュレーション動画を公開

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NASAは、「ブラックホールに落ちたらどうなるのか」を再現した動画を公開した。視聴者はブラックホールの引き返せない地点である事象の地平線に飛び込むことが体験できる。この可視化は、NASA気候シミュレーションセンターのスーパーコンピュータDiscoverで作成された。

目的地は、太陽の430万倍の質量を持つ超巨大ブラックホールで、天の川銀河の中心に位置するブラックホールに相当するのだという。宇宙飛行士の代役としてカメラが事象の地平線に入り込む。カメラは約6億4000万km離れたところから始まり、ブラックホールですぐに視界が埋め尽くされる。途中で、ブラックホールの円盤、光子リング、夜空などが次第に歪んでいく。

動画は2パターンのシナリオが用意されている。1つは、カメラが地平線を越えてしまうシナリオ(ブラックホールに落ちる)、もう1つはカメラが事象の地平線をわずかに外れて飛び出すシナリオだ。360度動画のバージョンでは、視聴者は周囲をすべて見渡すことができ、他のバージョンでは平面の全天地図として再生される。

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1つめのブラックホールに落ちたシナリオの場合、ブラックホールは、事象の地平線がはるかに小さく、潮汐力が強いため、接近する物体が地平線に到達する前に引き裂く可能性がある。これは、ブラックホールに近い物体の端にかかる重力が、反対側の端にかかる重力よりもはるかに強いことが原因とのこと。これにより、落下する物体は麺のように伸びるスパゲッティ化という現象が起こる。

事象の地平線では、時空自体も光速、つまり宇宙の速度限界で内側に流れていく。ブラックホールの中心は特異点と呼ばれる1次元の点であり、私たちが知っている物理法則が機能しなくなる。カメラが地平線を越​​えると、スパゲッティ化による破壊が、わずか12.8秒後に起こり、この旅の最終段階は瞬く間に終わるのだという。

2パターンめのシナリオでは、カメラは事象の地平線の近くを周回するが、事象の地平線を越​​えることなく安全な場所に逃げるシミュレーションが紹介されている。宇宙飛行士が宇宙船でブラックホールの往復飛行を行い、母船に乗っている飛行士はブラックホールから遠く離れた場所に留まった場合、母船に乗っている飛行士よりも36分若い状態で帰還することになるとのこと。これは、強い重力源の近くや光速に近い速度で移動しているときは、時間がゆっくり流れるためなのだという。

この映像を作成したNASAの天体物理学者であるジェレミー・シュニットマン氏は「この状況はさらに極端になる可能性がある」と指摘。「2014年の映画『インターステラー』に描かれたように、ブラックホールが急速に回転していたら、船員は他の船員たちよりも何年も若くして戻ってくるだろう。」と述べている。

ニュースリリースはこちら

Top Image : © NASA

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