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2022.04.08
知財ニュース
世界初、ミツバチを使わない人工ハチミツを開発―精密発酵技術で分子的に本物のハチミツ
カリフォルニア州のフードテックMeliBioは、ミツバチを使わない世界初となる代替ミツバチ商品を発表した。
ハチミツ企業の役員だったダーコ・マンディッチ氏と、科学者でアマチュアのシェフでもあるアーロン・シャラー氏は、全世界で100億ドル(約1兆1878億円)のハチミツ市場にサステナビリティを導入することを狙って、2020年にサンフランシスコでMeliBio社を立ち上げた。マンディッチ氏によるとこれまでのハチミツ産業は「サプライチェーンと品質管理が破綻している、最も持続可能性を欠く農業分野」だという。
MeliBioのハチのいないハチミツ生産方法は、2段階になっている。まず、ハチがどのように植物にたどり着き、蜜をつくるための行動をするか理解する。 次に、分子の組成を改良して製品とその大量生産を可能にする。そこで登場するのが、精密発酵だ。微生物を使って、特定の動物性たんぱく質を量産する技法である精密発酵の技術を活用し、ミツバチにたよらず分子的にハチミツと同じ“人工ハチミツ”を開発している。
マンディッチ氏によると、ハチを巣箱で飼うやり方は、これまで2万種のハチの野生在来種を断ち、ハチの集団の多様性を失わせてきたという。 「食べ物を持続可能にし、もっと栄養豊富にし、ハチをはじめ動物たちを犠牲にしないようにするために、食品産業を変えたい」と述べている。
同社はこのほど570万ドル(約6億8000万円)のシード資金を調達して、外食産業やB2Bアプリケーションへの市場拡大に努めている。すでにMeliBioは30社と提携しており、製品の評価事業に参加しているとのこと。
すでに人工ハチミツの受注を開始し、2022年内には流通が始まるという。これにより、ヴィーガン市場がさらに活気づくと注視されている。
Top Image : © MeliBio