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大阪・関西万博

2025.12.02

知財ニュース

万博パビリオン「いのちめぐる冒険」、沖縄県 中城村中学校での利活用計画が進行

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2025年大阪・関西万博のシグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」の施設リユースにおいて、沖縄県中頭郡中城村のPFI事業「中城村立中学校整備事業」における利活用を見据え、中城村立中学校での転用に向けて計画が進められていると公表された。

シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」は、小野寺匠吾氏が建築デザインを担当し、河森正治氏がプロデュースするパビリオンだ。セル(細胞)と呼ばれる2.4m立方の方向性のない構造モジュールで構成されている。このセルがパラパラと積み上げられ、多くの隙間や連なりを生み出すことで来館者が興味や探究心を持って中に入りたくなるような、海辺の岩礁のような建築をイメージしたパビリオンとなっている。

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このセルの鉄骨フレームは既存のコンテナ生産ラインを利用して製作できるディテールにすることで、低コストかつ高効率なプレファブを実現した。5個連結することで40フィートのコンテナ船に積むことができるため、海運を利用して夢洲の隣の咲洲の港まで運ばれ、そこから敷地までの最短距離だけをトラックで輸送することを可能としている。

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セルの外装は、大阪湾の海水で練ったHPC(ハイブリッドプレストレストコンクリート)というパネルで形成されている。HPCは鉄筋の代わりにカーボンワイヤーを使用し、一般的な真水でつくるコンクリートではなく、大阪湾の海水100%による海洋由来の革新的なコンクリートだ。

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真水の過剰消費という全世界的な課題に対し、真水を海水に置き換えるアイデアをパブリックスペースで実証し、大阪湾の海水を使って大阪湾の上に建っていることで、建築自らが、貴重な真水資源の保全へのメッセージを発信している。また、海水配合で得られた圧縮強度向上に伴う使用セメント量の削減によって、将来的にはCO2排出量の削減や蒸気養生の省略などが期待される。

更には途上国の沿岸の都市整備、移設及びリユースにも耐え得る塩害に強い長寿命建材となり得るように、この万博という未来社会の実験場において、さまざまな期待に満ちた一歩を踏み出している。

スクリーンショット 2025-12-01 1.30.01 正面が中学校校舎、右側に見えるのが「地域連携室」

このパビリオンの施設リユースにおいて、中城村立中学校の敷地の一角に作られる「地域連携室」で利用される可能性が高いと公表された。このリユース計画は、沖縄県中頭郡中城村のPFI事業「中城村立中学校整備事業」における利活用を見据えたものであり、SPCの代表企業である株式会社國場組、全体計画を担当する株式会社国建により詳細計画が検討され、博覧会協会・小野寺匠吾建築設計事務所との連携により、数々のハードルを乗り越え実現に向けて取り組みが進められている。

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また、この計画は、PFI事業による民間提案型の形式をとっている。これにより、通常の公共的な開発事業よりも柔軟かつチャレンジングな計画提案を行うことが可能となったのだという。

万博のパビリオンの一部が地域と連携しながら子供達の未来を照らす教育施設として再整備されることは、単なる資材のリサイクルにとどまることなく、万博におけるレガシーや、パビリオンにおけるリアルな体験を含めて、未来へ向けて継承していくことだ。また、本計画ではリユースと新築のハイブリッドというユニークな計画とすることで、リユースだけでは実現が難しい課題を解決することに成功している。

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Top Image : © 小野寺匠吾建築設計事務所

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