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2025.07.10
知財ニュース
Honda、完全電動配送モビリティ「eQuad」発表―米欧で展開へ、物流市場に参入

米Hondaは、米国現地時間6月17日、革新的なマイクロモビリティを用いて、都市部などでのラストマイルの配送において新たなソリューションの提供を目指す新事業「Fastport(ファストポート)」を発表した。
また、Fastportとして初の製品となる、配送用の電動アシストマイクロモビリティ「Fastport eQuad(ファストポート イークアッド)」のプロトタイプを、ドイツ・フランクフルトで開催される「Eurobike(ユーロバイク、2025年6月25日~29日開催)」にて世界初公開される。
Fastportは、アメリカン・ホンダモーター内で新事業の創出を担う組織「Honda New Business Innovation Lab(ホンダニュービジネスイノベーションラボ)」から誕生した、Hondaの新たなFaaS(Fleet as a Service)事業だ。FaaS事業とは、企業などが保有・運用する複数の車両(フリート)を対象に、導入から管理・保守までを一括で提供するサービス形態のこと。
「Fastport eQuad(ファストポート イークアッド)」は、ライダーがペダルを漕ぐ力を原動力とし、それを電動アシストで補助する1人乗りの配送用マイクロモビリティだ。自転車レーンでの走行を想定して設計されており、複雑な交通環境や渋滞が多い都市部での物流のスピードや効率性の向上に寄与することを目指している。
ライダーのペダル操作を電子的に動力に伝えるペダル・バイ・ワイヤ方式と、ペダル操作を電力で補助するペダルアシスト駆動システムを組み合わせ、力強く滑らかで静粛性の高いゼロエミッション走行を実現。回生ブレーキシステムを搭載しエネルギー効率を高めたほか、オートブレーキホールド機能も搭載し安全性も確保している。また、ライダーが快適に走行できるよう、UVカット加工を施したキャノピーに加え、換気ファンや前面をしっかり覆うカバーも備えている。
Fastport eQuadには、北米・欧州それぞれの市場ニーズに応じて、大型と小型の2種類の車両および貨物ボックスが用意されている。車両の全長を用途に応じてカスタマイズすることが可能で、食料品や、小型荷物から大型荷物まで幅広いサイズ、量の配送に対応。製品の提供だけではなく、FastportのFaaSプラットフォームと組み合わせた包括的なサービスを提供することで、より効率的でコストパフォーマンスの高い配送業務をサポートする。
電動アシストの動力源として交換式バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:(モバイルパワーパック イー)」を採用しいる。簡単に充電済みバッテリーと交換することができ、クリーンで効率的な配送に寄与する。
バッテリー、貨物ボックスなどの充実した保守・メンテナンス体制を備えるほか、車両の稼働状況やバッテリー残量、走行データを把握することができ、配送業務・管理業務の効率化に大きく貢献する。加えて、ソフトウェアの自動アップデート(OTA)により、継続的に機能の向上を図るとしている。
Hondaは、Fastportの展開を通して、北米および欧州をはじめとするグローバル市場におけるマイクロモビリティ市場へ新たに参入する。Fastport eQuadは、米国オハイオ州のHonda Performance Manufacturing Centerでの生産を計画しており、2026年夏から本格的な量産を予定している。
Fastportは、2026年の量産開始に先立ち、北米・欧州の物流・配送企業と連携した実証試験を実施。この検証を通して、より顧客のニーズに応えることができるモビリティサービスを届けるとしている。
Top Image : © American Honda Motor Co., Inc