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2023.06.14
知財ニュース
イーロンマスクのNeuralink、脳埋め込みチップをFDAが承認─人間で初の臨床試験へ
脳内インプラントと電子機器をつなぎ身体機能サポートや拡張を目指している米Neuralink(ニューラリンク)は現地時間5月25日、米食品医薬品局(FDA)より人間での臨床試験が承認されたと発表した。
同社はイーロン・マスク氏が2016年7月に設立。これまで動物による試験を重ねてきた。2022年11月のイベントでは、脳内インプラントを埋め込んだサルが、ディスプレイ上に強調表示された文字を認識・思考することで、コンピューターの文字入力を行う様子を公開。イベントではまた、FDAに人間の臨床試験申請を提出済みで、半年以内の開始を目指すと述べていた。
臨床試験の被験者募集はこれからで、開始時期は明らかにされていない。現在公式サイトでは、患者登録ページを開設し、応募条件や試験に適しているかの判断材料としていくつかの質問事項を掲載。応募条件には、成人年齢に達していることや、視覚障がいや聴覚障がい、失語症、四肢麻痺を持つことなどを盛り込んでいる。
脳内に埋め込んだインプラントで電子機器などをコントロールする、BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス)技術は、これまでも研究機関や大学などで開発が進められてきた。脳のニューロン(神経細胞)が電気信号を送って身体に情報伝達を行う仕組みを活用している。
Neuralinkのブレイン・コンピューター・インターフェースは、直径1インチほどと小型で、Bluetooth搭載、無線で充電可能。専用の手術マシンで頭蓋骨に埋め込み、千を超える電極を脳内につなぐ。脳のどの神経部分とも接続可能で、今後の進展により、視力・聴力・言語・四肢だけでなく、認知など様々な機能を失った人の機能復元が見込まれているという。その先に、人間の機能拡張も期待される。
Top Image : © Neuralink