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2025.07.08
知財ニュース
Honda初のロケット実験成功、再使用型ロケット開発に前進

Hondaの研究開発子会社である本田技術研究所は、自社で開発した再使用型ロケット実験機(全長6.3m、直径85cm、重量Dry 900kg/Wet 1,312kg)を用いた、、Hondaとして初となる高度300mまでの離着陸実験に成功したことを発表した。今回の成功は、Hondaが目指す宇宙領域での新たな価値創造に向けた重要な第一歩となる。
実験は6月17日、北海道広尾郡大樹町にあるHondaの専用設備で行われた。
今回、ロケットを再使用するために必要な、上昇・下降時の機体の安定性や着陸機能などの要素技術の実証を目的とした離着陸実験をHondaとして初めて実施。その結果、目標とした機体の離着陸挙動の作動(到達高度 271.4m、着地位置の目標との誤差 37cm、飛行時間56.6秒)、上昇・下降時のデータ取得を実現し、実験は成功を収めた。
実験にあたっては、半径1キロの警戒区域を設けるなど安全対策を徹底し、地域住民の理解と協力のもとで実施されたという。
Hondaのロケット研究は、燃焼技術や制御技術といった自社のコア技術を活かしてロケットを造りたいという若手技術者の夢から始まった。現代社会で需要が高まる人工衛星の打ち上げをより持続可能な形で行うため、機体を繰り返し利用できる「再使用型」の開発に挑戦している。これは、同社が自動運転技術などで培ってきた高度な制御技術を応用したもので、宇宙でのサステナブルな輸送実現への貢献を目指しているものとなる。
今回の成功について、本田技研工業の三部敏宏社長は、「Hondaはこれからも、人々の時間や空間に新たな価値を提供できるようチャレンジを続けていく」と、研究を前進させられた喜びをコメント。
現在はまだ事業化は未定だが、Hondaは今後も研究を続け、2029年には準軌道への到達能力実現というさらなる目標を掲げている。
Top Image : © Honda
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