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2021.10.04
知財ニュース
モルディブで浮島型の水上都市開発が進行中―海面上昇に対応する持続可能な都市を建設
インド洋に浮かぶ島国・モルディブ共和国では、「The Maldives Floating City(モルディブ・フローティング・シティ / MFC)」と呼ばれる世界初の完全浮島型の水上都市開発計画が進められている。
モルディブ共和国は、平均海抜3.3メートルという「世界で最も低い国土を持った国」だ。モルディブにある1190の島々のうち80%は海抜1メートルで、温暖化による海面上昇や洪水によって多くの島が沈んでしまうと言われている。実際に、すでに洪水が報告されたのは90%、海岸侵食が起こっている島々は97%に上る。
このような状況から、海面上昇に対応する持続可能な住居の開発が急務とされている。モルディブ・フローティング・シティは、浮体式の島の構築を専門とするオランダ企業Dutch Docklandsが設計を担当。海面上昇対策では通常埋め立てを行う国が多いが、サンゴ礁への影響を回避するために、モルディブは浮かぶ島をつくり、そこに政府主導で都市建設をする計画だ。
この島の構造は、ミツバチの巣のような六角形のハニカム構造のブロックを組み合わせたもの。首都マレやマレ国際空港からボートで約10分の距離にある環礁に建設される。面積はおよそ200ヘクタールで、都市全体は伝統的なモルディブの文化を彷彿とさせることをコンセプトとしている。
完成すれば数千戸の住宅が建設される予定だ。居住区の不動産価格は1000平方フィート(約93平方メートル)当たり、25万ドル(約2700万円)から。地元民だけでなく、海外からの居住者も誘致する狙いがあるという。病院や学校、買い物施設などにも簡単にアクセスできる。
モルディブ・フローティング・シティは2022年に建設開始予定。完成まではおよそ5年を要するとのことだ。
Top Image : ©The Maldives Floating City