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2024.12.02

知財ニュース

NTTとオリンパス、世界初のクラウド内視鏡技術―150km離れた診断で遅延1.1msを実証

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日本電信電話株式会社(NTT)とオリンパス株式会社は共同で、世界初、内視鏡の映像処理機能をクラウド上で実現するクラウド内視鏡システムをIOWN APNを用いて構成することで、遅延の課題を解消し、150km離れた遠隔地のサーバ上で映像処理を実施しても、内視鏡医が患者に対してリアルタイムな診断・治療が実現可能なことを実証できたと発表した。

研究成果の一部は、2024年11月25日~29日に開催される「NTT R&D FORUM 2024 ―IOWN INTEGRAL」に展示予定としている。

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内視鏡は、検査や組織サンプルの採取の際に使用される医療機器だ。最近では内視鏡撮影映像から病変の恐れがある部位を内視鏡操作者に提示するなどの高度な支援機能を備えている。

一方で、現在の内視鏡は内視鏡装置内で全ての機能を処理しており、性能限界やメンテナンス性が課題となっている。また、リアルタイムでの遠隔診断や治療の実現など柔軟な機能改善、アップデートが必要になる場面が増えるとされている。そこで映像処理等処理負荷の高い一部の機能をクラウド上で分担する「内視鏡のクラウド化」が議論されているのだという。

クラウドを活用した内視鏡映像処理の実現には、内視鏡機器とクラウドを接続するためのネットワークが重要だ。このネットワーク上で遅延が発生すると、内視鏡の操作に対する映像の遅れが発生し、内視鏡の操作者に違和感を与えてしまう。これを防ぐためには、内視鏡で捉えた高画質の映像を安定的かつ低遅延でクラウド上の映像処理システムへ送る事が必要だ。

この実証実験では、オリンパスの高度な内視鏡技術に加え、NTTの高速低遅延ネットワークであるAPNを組み合わせることで、クラウドにおけるリアルタイムな内視鏡映像処理(クラウド内視鏡システム)の実機検証を実施した。

内視鏡映像を入力するデバイス(エッジデバイス)から約150km離れた映像処理を行うサーバ間をAPNに接続し、クラウド内視鏡システムとして構成した。

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内視鏡スコープで撮影された映像を、内視鏡プロセッサを経由してエッジデバイスに送り、映像を非圧縮のままAPNを通じてサーバに転送。映像を受け取ったサーバがAI等による映像処理を行い、処理済みの映像をエッジデバイスに返送し、最終的にエッジデバイスに接続された操作者が閲覧するモニタに処理後の映像を出力した。

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距離約5mのケーブルによるローカル接続と距離約150kmのAPN接続の2構成にて映像処理を行い、操作者のモニタに出力された映像を測定用デバイスで撮影しネットワークのデータ遅延計測、および映像比較評価を行った。

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モニタに出力される映像データ4K/60fpsが数フレームでも遅れて表示されると操作者に違和感を与えてしまう。そこで実験では約150kmのネットワークとして許容するデータ転送の遅延値を、映像の1フレーム以内(16ミリ秒以内)にする事を目標として実験を行った。結果は遅延値1.1ミリ秒となり、目標の1/10で転送が可能である事を実証した。

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また内視鏡操作者の目視確認による映像比較評価の結果においても、ローカル接続とAPN接続とでは遅延・揺らぎの両面において差分が感じられないほどであることが確認でき、APNの遅延時間は映像処理のボトルネックにはなり得ないということを実証した。

実験の結果は、広域エリアの病院を一カ所に集約した映像処理サーバで処理ができることの可能性を示しており、今後のクラウド内視鏡システムの社会実装に向けた貴重な知見を得られた。

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Top Image : © 日本電信電話 株式会社

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