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2023.07.31

知財ニュース

Appleが特許出願、AirPodsで脳波を想定か─脳波を含む生体信号を測定するデバイスの特許が公開

Apple AirPods

米国特許商標庁(USPTO)は現地時間7月20日、Appleが出願していた特許「Biosignal Sensing Device Using Dynamic Selection of Electrodes(電極の動的選択を用いた生体信号センシングデバイス)」を公開した。

特許は、脳波を含む人の生体信号を測定するウェアラブルデバイスに関するもの。脳波の計測(Electroencephalography 、以下EEG)を軸としているが、それに限定はしていない。筋肉や神経の信号を計測する筋電図や、心電図、皮膚の電気伝導度を計測するガルバニック皮膚反応など、他の生体信号の測定も範囲に含めている。

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その一方で、Appleは特許の背景として、耳によるEEGについて記載しており、脳波が最大の注力ポイントであると見られる。

その中で、耳の内部や周囲へ電極を配置して脳波を計測する方法は、頭皮周辺に設置する装置に比べて目立たず、ずれにくいなどのメリットがあると記載。半面、耳のサイズや形状などは人によって異なるため、計測を行う電極の接触状態を保つことが難しい。個々人でカスタマイズが必要だったり、カスタマイズしたものでも経年変化で測定精度が落ちるといった課題があるとしている。

Appleはそうした現状課題を受け、本特許技術の開発に至っている。

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計測を行うウェアラブルデバイスには、イヤホンや有線ヘッドセットなどを想定している。図には主に、Air Podsのような絵を用いて説明。デバイス機器の表面に多数の電極を配置し、その時々の状況に応じて、生体信号を測定する電極を動的に選択し、測定精度を保つという。

電極は例えば、イヤホンのイヤーチップ領域に活性電極を配置し、筐体(イヤホンの本体)領域に基準電極を実装するなどの方法を上げている。この形式は一例で、有線ヘッドセットの左右に各電極を設置するなどの構想もある。

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電極の選択方法も複数あるが、電極間の距離に応じて選択する、人が触れたりタップするなどの操作に応じて行う、機械学習させて行うなどの方法を上げている。

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測定結果の送信方法は、ブルートゥースやWi-Fi、5Gなどの無線通信のほか、有線でもあり得るという。異常値が測定されたらユーザーに通知したり、サーバーに保存して活用するなどの使用を想定している。

本技術が実現すれば、脳波計測は今よりさらに身近なものとなる。医療ヘルスケア領域はもちろん、解明された脳の仕組みを用いたテクノロジーの進展など、様々な方面での活用が期待される。

特許出願情報 ” Biosignal Sensing Device Using Dynamic Selection of Electrodes”

Top Image : © Apple Inc.

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