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2023.05.15

知財ニュース

元アップル幹部創設のスタートアップHumane、ウェアラブルAIデバイスのデモを公開─手のひら投影で受話、人の支援も

Humane

カナダ・バンクーバーで4月20日(現地時間)に開催されたTED2023に「Humane」が登場した。胸ポケットに収まるAI搭載のウェアラブルデバイスのデモを行い、AR/VRとは異なる未来のテクノロジーの方向性を示した。

Humaneは、人間とコンピューターのつながりを再考し、生活における「テクノロジーの役割を再構築する」ことを目指し未来創造に取り組むスタートアップ企業。創業は2017年でサンフランシスコを拠点としている。

▼ Humane 公式サイト "Our Story"より(一部抜粋)
Rethinking, reconsidering, and remembering honest human connection in the context of computing, they seek to reshape the role of technology in our lives.

代表は、アップルで20年以上開発に携わり、責任者としてiPhoneやApple Watchなどを世に送り出してきたImran Chaudhri氏。数千の特許技術を保有する発明家でもある。また共同創業者で妻のBethany Bongiorno氏は、アップルでiOSのソフトウェア開発を手がけてきた人物。同社への期待度は高く、資金調達額は23年5月時点で総額2億3,000万ドルに到達している。

ただHumaneは、これまで製品を一切リリースしておらず、事業計画の詳細も明らかにしてこなかった。そのため同社の動向が注目されていた。

TED Talkで行われたデモではまず、電話の着信情報をChaudhri氏本人の手のひらに投影して受話。Bongiorno氏と会話を交わした。投影は、胸ポケットに収めたウェアラブルデバイスで行っており、手のひらだけでなくテーブルなどどんな場所でも投影可能という。

続けて、デバイスがAIのスピーチモデルで同氏の声を生成して流暢なフランス語を話す実演や、不在中に聞き逃したことを要約して音声で伝えるデモを実施。最後に、チョコレートをデバイスにかざして食べていいかを確認。AIが含まれている材料と健康面を判断してコメントする様子を公開した。

Chaudhri氏が終始強調したのは、人間に存在を感じさせないデバイスと、AI技術のさらなる進展によるテクノロジーの新たな在り方だ。持運びしやすいAIデバイスと生活を送る中で、AIの機械学習が進み、パーソナライズされた強力なAIに進化することにも言及している。

それを体現する製品として、ウェアラブルAIデバイスの開発を進めており、今回、使用例と機能の一部の紹介をした形となる。Humanは、デバイスの詳細について年内には発表会で明らかにするという。

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Humaneの公式サイト

Top Image : © Humane

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