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2025.12.09
知財ニュース
ユーミンがAIで“第3の声”を生成、40枚目アルバム『Wormhole』―1970年代から現在の声までAIが学習

ユニバーサル ミュージック合同会社は、松任谷由実の40枚目となるオリジナルアルバム「Wormhole / Yumi AraI」を11月18日に発売した。松任谷さんの声を学習したAI音声を活用した楽曲を収録している。
40枚目のアルバムとなる今作は、時間や時空を超え、多次元世界をつなぐ「Wormhole(ワームホール)」がテーマ。荒井由実時代から現在に至るまでのボーカルトラックを音声合成ソフト「Synthesizer V」(以下V)に学習させ、再構築。現在の歌唱法をデータ化して V に歌わせた“第3の声”を生み出すことで人間とAIとの共生を実現したという。作品は、あえて“Yumi AraI”名義を使用している。
『Wormhole(ワームホール)』のコンセプトをテクニカルに表現するために、今作では"Chrono Recording System(クロノレコーディングシステム)"と名付けられた独自の制作手法を導入。
これは、荒井由実時代から現在に至るまでの数百におよぶボーカルトラックを、音声合成ソフト「Synthesizer V」に学習させ、その膨大な声の記録をもとに、"別次元の荒井由実"の声を再構築・生成するという前例のない試みとしている。
それは単なる技術実験ではなく、「AIと人間の共生」という現代的なテーマも深く通底しています。
AIは目的ではなく手段——創造の本質は、あくまでも人間にある。
ゼロからイチを生み出す力は人にしかなく、そのためには身体も知性も、ともに磨かれていくべきだというメッセージも、このアルバムには込められています。
松任谷由実は、1972年、多摩美術大学在学中に荒井由実として、シングル「返事はいらない」でデビュー。ユーミンの愛称で親しまれ、「ひこうき雲」「やさしさに包まれたなら」「守ってあげたい」「真夏の夜の夢」「Hello, my friend」「春よ、来い」など、数々の名曲を生み出した。
リード曲「DARK MOON」は同アルバムを象徴する重要なナンバーで、高揚感と共に新たな自分と出会う旅の始まりを歌い上げた。新曲「天までとどけ」は、フジテレビドラマ『小さい頃は、神様がいて』のために書き下ろされたもので、収録曲の中でも特に荒井由実を想起させる作品。作詞・作曲は松任谷由実、編曲は松任谷正隆が担当した。
2025年から2026年にかけて、全72公演の全国ホールツアー「FORUM8 presents 松任谷由実THE WORMHOLE TOUR 2025-26」も併せて開催される。
Top Image : © ユニバーサル ミュージック 合同会社


