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2023.09.19

知財ニュース

ソニー、電子機器から出る“電磁波ノイズ”から発電するモジュールを開発、IoTに給電可能

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ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社は9月7日、チューナー開発で培ってきた技術を応用し、電磁波ノイズエネルギーを利用したエナジーハーベスティング(環境発電)用のモジュールを開発したことを発表した。これにより、電磁波ノイズから電力を効率的に生成するという。

開発品は、例えば、工場内のロボット、オフィス内のモニターや照明、店舗や家庭のモニターやテレビ、冷蔵庫などから常時発生する電磁波ノイズを利用し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器などの稼働に必要な電力の安定的な生成と供給を可能にするという。

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エナジーハーベスティングとは身の回りにあるわずかなエネルギーを変換し活用する技術のことで、IoT社会の発展と持続可能な地球環境の両立に貢献する技術として、電波や光、熱、振動などの分野で研究が進められてきた。今回開発されたモジュールは、電気を使用するあらゆる機器から発生する電磁波ノイズを利用して電力を生成することができるエナジーハーベスティング技術として大きな注目を集めている。

同開発品は、同社が培ってきたアンテナ技術をもとに、電磁波ノイズの発生源である電子機器などの金属部をアンテナの一部として活用しているほか、電気への変換効率を高める整流回路(※1)を用いた独自の構造を採用した。

これにより、小型なモジュールながら、数Hz~100MHz帯の電磁波ノイズを電気エネルギーに変換し、低消費電力型のIoTセンサーや通信機器などへの給電や電池などへの充電が可能。高効率な電力生成を実現する本方式によるハーベスティング技術は、業界初となる。(※2)

今回の開発では、従来注目されていなかった電磁波ノイズを新たな電力源として有効活用し、IoTセンサーなどで必要とされる電力消費に対して、電力を安定的に供給することが可能になった。

さらに、モジュールの部品点数を抑えて小型化することで設置の自由度を高めているほか、電子機器が通電されていれば待機時でも電力収穫が可能なため、工場やオフィス、店舗、家庭など、幅広い場所での活用が期待できるという。

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同社は今回の開発について、「IoT機器の普及・高度化とともに、増加するIoT機器への電力供給の問題が注目される中、本技術は高い効果に加え、幅広い応用が期待できるエナジーハーベスティング技術として、電力循環モデルの構築と、持続的なIoT社会の発展に貢献することを目指したい」と展望を語っている。

※1整流回路とは、交流電流を直流電流に変換する電気回路のこと。一般に、電気エネルギーの伝送には交流を使用することから、直流を必要とする設備の電源には整流回路が用いられる。

※2エナジーハーベスティング用の技術として、同社調べ。(2023年9月7日広報発表時)

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Top Image : © ソニーセミコンダクタソリューションズ 株式会社

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