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2022.12.20
知財ニュース
FIFAワールドカップの試合球「コネクテッドボール」が話題に─IoT技術によりセンチメートル単位の測位を実現
FIFAワールドカップカタール2022で公式試合球として使われた、ドイツのKINEXON社とアディダス社が共同開発した、ボールの位置をリアルタイムでキャプチャするテクノロジー搭載の「コネクテッドボール」が大きな注目を集めている。
コネクテッドボールとは、本大会で初めててFIFAワールドカップ公式試合球として採用された、ボールの位置情報データを検出できる「IoTボール」。ボールの位置と慣性データ(インパクトとスピン量)をセンチメートル単位の精度で検出できるIMU(慣性計測装置:イナーシャル・メジャーメント・ユニット)が内蔵されている。
コネクテッドボールでは、ボール内部の慣性測定ユニット(IMU)モーションセンサーにより、ボールの動き、位置データが収集される。500Hzの信号を1秒間に500回発信し、フィールド上のトラッキングカメラやAIと連動し、ボールの位置をセンチメートル精度で追跡する。
また、コネクテッドボールの他にも、位置測位システムでボールの正確な位置をリアルタイムで追跡するローカルポジショニングシステム(LPS)技術や、超広帯域センサー(UWB)を活用したリアルタイムデータ通信などの技術が活用されており、審判のジャッジの精度が大幅に向上した。
なお、IMUとLPS技術が測定した結果は数秒でVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)に送信される。AI分析により、オフサイドの判定も、審判に伝えられる前にオペレーション・ルームで迅速なチェックが行える。
様々な技術の導入により、従来は測定が難しかった選手らの細かい動きの可視化が可能になった今回のワールドカップ。観客の楽しみ方や判定結果にも大きな変化が訪れている。
Top Image : © アディダス