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2023.05.08

知財ニュース

100%廃棄物を商品化、タオル染色の綿ぼこりから生まれた着火剤「今治のホコリ」が大ヒット─化石燃料不使用

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愛知県今治市の染色メーカー・西染工は2022年2月、タオルの染色時に生じる綿ぼこりを使用し着火剤として商品化した「今治のほこり」を発案し発売。大ヒットを記録し、発売以来、月間売り上げが当初の20倍以上に伸びている。

「今治のホコリ」は、タオルの染色工場でタオルの染色・機械乾燥時に発生するカラフルな「綿ぼこり」を活用した着火剤。石油を使わず綿100%のため、化学系の独特なにおいも発生せず身体にも優しいほか、わずかな火花で簡単に着火するのが特徴。10gの綿ぼこりがあれば、5分程度燃焼し続けることも可能で、従来品の着火剤と比べて遜色がないという。

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「今治のホコリ」は、ファイヤースターター(火打ち石)を使った火起こしが簡単にできるため、ライターでの着火に比べ、より非日常感を味わえるとキャンプ愛好家の間で評判に。従来の着火剤は見た目も黒や茶色が主流だが、「今治のホコリ」はカラフルな見た目でプレゼントとしても喜ばれている。

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タオルの染色は、高温の染液に生地を浸し、機械乾燥して色を定着させるため大量のエネルギー資源を必要とする。同社は、約20年前から、環境負荷を減らすため、配管を断熱材で覆い、熱効率のいい機械を導入するなどの省エネ対策を行ってきたが、近年は手詰まり感が強まっていたという。

そこで同社は、サステナブルの観点から各工程を再検討する中、綿ぼこりに着目。綿ぼこりは、電気系統をショートさせるため、工場火災の要因になりえるが、同社では毎日120リットルのナイロン袋2袋分の綿ぼこりが廃棄物として発生しており、廃棄費用もかかることから、関係者の頭を悩ませていたという。

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タオルの年間の生産量が1万トンを超え、全国でも57%のシェアを占める日本一のタオルの産地である今治市。この発明が、同市の新たな名産品になることに期待したい。

西染工 公式サイト

「今治のホコリ」商品サイト

Top Image : © 西染工 株式会社

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