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2021.08.16

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石油と同じ成分を体内でつくりだす植物プランクトンを海洋研究開発機構が発見

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国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)と豊橋技術科学大学生理学研究所が、石油と同等の炭化水素を合成する植物プランクトンを発見したと発表した。

発見された植物プランクトンは「Dicrateria rotunda (D.rotunda)」と呼ばれ、海洋研究開発機構の研究船「みらい」が2013年に北極海で行った調査から得られたものだ。採取した計11種のDicrateria属を培養して詳しく調べたところ、全てが炭素数10~38までの一連の飽和炭化水素(炭素と水素からできている有機化合物)を合成する能力を有しており、この生物種に共通する能力であることが明らかとなった。

炭素数10~15はガソリン、16~20はディーゼル油、21以上は燃料油に相当する。石油と同等の炭化水素を合成する能力を持つ生物が発見されたのは世界で初めてのことだ。

image002 a) D. rotunda北極海株ARC1の明視野顕微鏡画像(左上)、蛍光顕微鏡画像(左下)、電子顕微鏡画像(右)。b)複数の電子顕微鏡画像より復元した3次元構造。

調査の結果、D.rotundaの飽和炭化水素は暗所および窒素欠乏条件で増加することが判明している。D.rotundaのつくる一連の飽和炭化水素の成分はバイオ燃料として申し分ないが、その一方で、合成できる飽和炭化水素量はわずかだ。今後はD.rotundaの飽和炭化水素合成能を効率的に増強させる研究を行い、新たなバイオ燃料として活用できるよう進められる。

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Top Image : ©Getty images

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