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2025.12.08
知財ニュース
カナダのマギル大学、蚊の口器を3Dプリントのノズルに再利用できる製造技術を開発

カナダのマギル大学の研究グループは、メスの蚊の口器を3Dプリントのノズルに再利用できるバイオハイブリッド製造技術「3Dネクロプリンティング」を開発した。
従来のノズルは主に金属やプラスチックなどの生分解性のない材料で作られており、環境への負荷が高い。これに加えて、市販の金属製ノズルで最も細い内径35マイクロメートルのものは、1本あたり80ドル以上で、コストも課題となっている。ガラス引きであれば、1マイクロメートル未満の直径を実現できるが、製造が難しく、非常に脆いとされている。
研究チームはハチやサソリなどの針、毒ヘビの牙、ムカデの銛など、様々な生物から評価し、これらから評価すると、メスの蚊(ネッタイシマカ)の口器が最適な候補である可能性が高いことが分かった。
この蚊の口器は、一般的に使用されるインクを押し出すのに十分な機械的強度と破損抵抗性を備えており、実験では最小20マイクロメートルの細い物を印刷することが可能であることが示された。
寿命は常温で保管した場合、最小寿命は9日で、14日後には故障率が約30%となったが、最適な条件(冷凍庫で-20°C)で保管した場合、1年間保存でき、機能を維持できることが確認されている。
蚊の飼育コストは低く(蚊1匹あたり0.02米ドル未満)、組み立てコストは1個あたり約0.8米ドルと推定されており、低コストでの製造が可能とされている。また、生分解性で環境負荷も低いと期待されている。
Top Image : © McGill University


