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2023.09.04

知財ニュース

米国裁判所、AIで生成した作品は著作権保護の対象外と判決

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ワシントンD.C.の米国連邦裁判所判事は現地時間8月18日、AIが生成した作品は著作権で保護されないとの判決を下した。

ニューラルネットワークなどの開発を手がける「Imagination Engines」のCEO、Stephen Thaler氏が求めていた裁判で、同氏は自身が手がけるAIシステム「DABUS」で生成した画像が著作権法で保護されるべきと訴えていた。

裁判にあたったBeryl Howell連邦地裁判事は、人の手を介さずに動作する、新しい形態のテクノロジーによって生成された作品を保護するほど著作権法の範囲が広がることはないと述べ、申し立てを却下した

判決の中でHowell判事は、著作権法が目指しているのは人間の創作活動を奨励・支援することと明示。また、著作権や特許は、政府が保護するために設けた財産の一形態であり、その財産に排他的権利を認めることで、個人の創造と発明を奨励し、公益を促すと理解されていると述べた。

生成AIの登場以来、生成技術は拡張や進化を続けている。米ハリウッドでは、AIが人に代わって脚本や画像生成を担い、作品を完成させ得るという懸念が高まり、俳優や脚本家がストライキを起こす事態に陥っている。ただ今回の判決では、これまでの著作権法の範囲を超えることはなかった。

なお、米国著作権局は2023年3月、AIで生成した素材を含む作品は著作権の対象とならない旨を声明で発表。一方、AIが生成した素材に人が手を加えるケースでは、人が介入した結果、作品に十分なオリジナリティが認められた場合に限り、人が創造した部分のみを著作権保護の対象に含むとしている。

「Imagination Engines」の公式サイト
米国著作権局の声明・掲載サイト

Top Image : © Pixabay

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