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2023.09.11

知財ニュース

東大と三井不動産、走行中にEVに給電可能な走行レーンを新設─日本初の走行中ワイヤレス給電の公道実証実験へ

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東京大学大学院新領域創成科学研究科 藤本・清水研究室と三井不動産は2023年7月3日、走行中給電用コイルを埋設した走行レーンを民間で初めて新設し、フィールド検証実験の開始を発表した。

本レーンは走行中のEVに給電できる走行中給電用の走行レーンで、首都圏最大級の屋外ロボット開発検証拠点「KOIL MOBILITY FIELD」に設置している。走行中ワイヤレス給電の公道での実証実験により近づくこととなる。

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CO2排出量が少ないことから、近年世界的に注目を集めている電気自動車。しかし、動力源となるバッテリーの供給不足が懸念されている。

東京大学と三井不動産は、これまでの共同研究において、走行中給電の早期実用化を目指し研究開発を進めてきた。このプロジェクトでは、走行・停車中に路面から給電することでより少ないバッテリー搭載量でEVの航続距離を確保可能にする技術開発を行っている。それにより、以下のようなメリットが考えられる。

  • 電池の小型・軽量化による車両価格の低減

  • 電池の軽量化による燃費(電気料)の改善

  • 充電時間を含めた移動時間の削減

  • 電池容量の低減による電池作製時に発生するCO2の削減

今回の敷設は、2023年度中に柏の葉エリアで実施予定の、日本初となる公道での走行中給電の実証実験を念頭においたもの。走行中給電システムを開発する企業や大学は、東大と共同研究パートナーとなり、かつ「KOIL MOBILITY FIELD」の会員になることで、本走行レーンの利用が可能になるという。

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今回埋設された送電コイルは60秒間の充電で約6km走行ができる試算。つまり、6km走行する間に60秒間の充電が可能なインフラ設備や街づくりを整備できれば、断続的に充電しながらEVバッテリーの正味消費電力をゼロにでき、小型バッテリーだけで連続走行可能になる計算になる。

両者は、送電コイルは市中においては信号待ちをする交差点停止ライン30m付近に埋設することが、より効果的としている。

なお、両者によれば、今回新設した走行中給電レーンでの研究成果は「2023 IEEE Third International Conference on Industrial Electronics for Sustainable Energy Systems」にて発表予定。日本のEVの今後の進化に期待したい。

ニュースリリースはこちら

「KOIL MOBILITY FIELD」紹介サイト

「2023 IEEE Third International Conference on Industrial Electronics for Sustainable Energy Systems」公式サイト

Top Image : © 三井不動産 株式会社

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