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2025.04.28
知財ニュース
大阪・関西万博で視覚を遮断する没入型体験MR展示「SENSPHERE」開催

株式会社GATARIは、大阪・関西万博にて視覚に頼らない没入体験型展示「SENSPHERE 知覚の境界をほどく旅」を開催した。
Mixed Reality(MR)プラットフォーム「Auris」を活用し、大阪・関西万博ギャラリーWESTで毎日新聞社などが出展するメディア催事「点字考案200年 視覚障害者の世界を体験する」内に、体験型の展示イベント「SENSPHERE 知覚の境界をほどく旅」をプロデュースした。
SENSPHERE(センスフィア)はインクルーシブ体験を支援するシステムで、スマートフォンとイヤホンだけで体験が可能。本展示では、視覚を遮断した状態で洞窟のような空間を進みながら、人の感覚や知覚の限界と豊かさを見つめ直す、感覚探求の旅が体験できる。本企画は2025年4月19日(土)より24日(木)までの6日間実施された。
「Auris」は、スマートフォン1台で完結するGATARI独自のMixed Reality(MR)プラットフォームだ。ユーザーの位置をセンチメートルオーダーで認識し、ユーザーの動きや位置に応じてインタラクティブな体験を提供することを可能にする。
スマートフォンで完結する独自の空間スキャン&自己位置推定システムと、設定次第で様々な体験を可能にする自由度の高いオーサリングツールにより、今までにない体験をいつでも誰でもどこにでも作ることができる。現在、文化財や博物館、モデルルームや展示会など様々なロケーションへの導入が進んでいる。
本展示では、体験者は目を覆い、視覚情報を遮断した状態で洞窟のような空間を進む。手探りで壁を辿りながら、オーディオデバイスから耳に届く音の方向や質感の違いに導かれ、聴覚や触覚など視覚に頼らない情報から構成される世界の彩りを体感。「Auris」ならではの立体音響演出やユーザーの身体の動きを細部まで認識したインタラクティブな没入型展示となっている。
GATARIではこれまで「Auris」の強みを活かして視覚障がいの人々の施設内の移動のサポートや体験性の向上などQOL向上に向けた取り組みを重ねてきた。同社がこうしたコンテンツをMixed Realityを用いて企画制作する背景には、人が感覚器官を通してどのように自身を取り巻く環境を認識しているのかを理解し、その感じ方を変えることで現実空間をより豊かな空間にしていくという理念がある。
大阪・関西万博の場で実施する「SENSPHERE 知覚の境界をほどく旅」は、この理念のもと視覚障がいの有無や個々人の感覚の違いにかかわらず“人間の知覚の限界が生み出す想像力の可能性”を考え、感じることができる体験を提供する。
今回の展示では、大阪工業大学(学長:井上晋)の情報科学部情報メディア学科マルチメディア応用研究室(指導教員:平山亮教授)及び学生有志による「Auris」を活用して制作した体験イベントも実施される。昨年より東京と大阪をオンラインで結び、GATARIのメンバーが学生向けに「Auris」の活用方法をレクチャーし、体験コンテンツの制作支援なども行ってきた。
今後もGATARIは、Mixed Realityの技術を活かし、企業、団体、教育機関など多様な人々とコラボレーションしながら、視覚障がいのある人への情報保障や障がいの有無に関わらずそれぞれのパーソナリティに合わせた情報提供の取り組みを進めていくとしている。
Top Image : © 株式会社 GATARI