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2025.02.21
知財ニュース
人間を凍結保存、未来の蘇生と医療進歩を待つ新サービス「クライオニクス」
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ドイツに拠点を置く企業Tomorrow.Bioは、死亡した患者を冷凍保存するサービスを行っている。
人間の冷凍保存(クライオニクス)は、人間が法的に死亡した後に、その人間を生物学的に完全に休止させる高度な医療処置だ。
その目的は、医療技術が進歩して死因を治療し、蘇生できるようになるまで、人間を保存しておくこと。クライオニクスは、患者に将来の技術の恩恵を受け、現在可能な寿命よりも長く生きる可能性を提供するものだ。
現在、同社のサービスでは、約3〜4人とペット5匹が冷凍保存され、登録者は約700件ほど。冷凍保存は、全身や脳のみなどのプランが用意されており、プランにより費用は異なるが、全身凍結保存は約200,000ユーロ、脳のみの保存は75,000ユーロとのこと。
同社のクライオニクスでは、死亡宣告をされた患者は同社専用の救急車を派遣し、その救急車内で冷凍保存の準備が開始される。
遺体は、体全体に氷が形成されることを防ぐため、凍結保護剤で凍結保存され、スイスの保管施設に搬送される。搬送後、遺体を-120℃まで冷却。ゆっくりと時間をかけて-196℃まで冷却し、液体窒素で満たされた容器で保管される。
同社は、冷凍保存された患者の蘇生はまだ不可能だが動物再生の研究や哺乳類の臓器復活、脳の凍結保存の研究などの結果から実現できない根本的な理由はないとしている。現状では、凍結保存された患者の将来の蘇生は成功を保証するものではなく、延命の可能性を提供するのみだとしている。
同社の公式発表によれば、2024年7月にニューヨーク、カリフォルニア、フロリダでサービスを開始し、2025年中頃までに全米展開を計画している。
Top Image : © Tomorrow.Bio