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2023.10.27
知財ニュース
住友ゴム、タイヤ回転で発電する「タイヤ内発電技術」を進化─幅広い速度域で電力の安定供給に成功
住友ゴム工業株式会社が「タイヤ内発電技術」について発表した。かねてから取り組んできた、タイヤの回転によって電力を発生させる技術開発に関し、2種類の発電デバイスを組み合わせることで幅広い速度域で安定した電力を得ることに成功したという。タイヤ内部に設置したTPMS(Tire Pressure Monitoring System:タイヤ空気圧監視システム)の稼働を確認したことを発表した。
同技術は、関西大学 谷弘詞教授と共同で開発しており、タイヤの内側に静電気を利用した発電デバイス(エナジーハーベスト ※1)を取り付け、タイヤの回転によって電力を発生させるもの。
(※1 エナジーハーベスト:環境発電。身の回りの使われずに捨てられている、光、振動、熱などのわずかな環境エネルギーを拾い集めて活用する技術)
同社はこれまで、タイヤの歪みの変化による張力を利用した低速域での発電(発電デバイスA)への成功を確認していた(※2)。今回は、加速度変化による遠心力を利用する発電デバイス(発電デバイスB)を適切に配置することにより、高速域でも相当量の電力を得ることに成功したという。
(※2 タイヤ速度50km/hで発電量800μW以上を確認)
発電メカニズムの異なる2種類の摩擦発電デバイスを並列接続することで、幅広い速度域で安定した電力を得ることができるようになる。実車を用いた実験でも、低速域から高速域まで、安定してTPMSの起動が可能なことが確認された。
同社では、CASE/MaaSなどの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ技術開発および周辺サービスのコンセプト「SMART TYRE CONCEPT(スマートタイヤコンセプト)」を掲げて、さまざまな技術開発を行っている。
その中でも、タイヤを「センサー」としたソリューションサービスの提供を推進しており、タイヤ内発電技術が実現することでタイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決する手段につながり、タイヤセンシングの実用化を大きく前進させることができるという。
同社は、今後も「タイヤ内発電技術」の進化をさらに加速させ、各種デジタルツールの安定稼働を可能にすることでドライバーの安全を支えていくとしている。
この成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業の結果得られたもの。
Top Image : © 住友ゴム工業 株式会社