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2021.09.28

知財ニュース

愛媛県松山市らが「野球拳おどり」を商標登録─郷土芸能を保護

野球拳おどり

「アウト、セーフ、ヨヨイノヨイ」で全国的に知られる「野球拳」。それを進化させた「野球拳おどり」が特許庁で商標登録された。野球拳の発祥の地である愛媛県松山市と松山商工会議所が、2020年9月に商標登録出願しており、特許庁の審査を経て、2021年8月26日付で商標登録された。

野球拳は、1924年に松山市に本社がある伊予鉄電の実業団野球部が、宴会芸として即興で生み出したもの。その後は市内に留まらず、全国的に広まった。その野球拳をベースに、戸外で踊れるものとして振付されたのが、野球拳おどりだ。1970年以降、松山市内で例年8月に開催する「松山まつり」のメイン催事に活用されている。商標登録を出願した松山市と松山商工会議所は、その松山まつりの実行委員会事務局を担っている。

野球拳おどりの商標登録は、デジタル化が加速する中で、無断利用や悪用を防ぐ狙いとみられる。2020年8月はコロナ環境下で沿道でのイベントは中止となったが、「野球拳おどり」の動画を募集し市民が投票で気に入った動画を選ぶオンラインイベントを実施。松山市らはその翌月に、商標登録を出願している。なお、野球拳おどりと同時に「松山まつり」も出願していたが、そちらは商標登録に至っていない。

▼ 2020年の「松山まつりonWeb ~総集編~」

商標とは、「事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)」(特許庁公式サイトより)のこと。区別のためのマークには、文字/図形/立体的形状/音/動き/ホログラム/色彩/位置などが使われる。商標登録によって得られる商標権は、マークと商品・サービスで構成される。商標権の取得により、自身の商品・サービスが他と区別され、保護・占有できる。サービスの定義は広く、輸送・預金・映像制作など多岐に渡る。野球拳おどりは、文化活動などのカテゴリで、「祭りの企画・運営又は開催」が対象サービスとなっている。

松山市らは、野球拳おどりの商標登録で郷土芸能の保護が可能となる。しかしそれに留まらず、オリジナルの証明ができることででブランドが確立され、観光産業やコンテンツ提供などで価値創造につながる可能性もある。将来的には、自治体による地域特有の商品・サービスの商標登録が、新たな地域振興・活性化策になると期待される。

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Top Image : © 松山まつり実行委員会

「野球拳おどり」商標登録番号:第6434383号

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