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2025.10.14
知財ニュース
Amazon、パーソナルAIアシスタント「Alexa+」開始、新製品を発表

米Amazonは9月30日に開催したデバイス発表イベントで、生成AIを搭載した同社の新しいパーソナルAIアシスタント「Alexa+」を正式に発表した。新しいEchoデバイスをはじめとする製品群とともに、AIの機能を拡張した次世代のAlexaエクスペリエンスとして展開される。
「Alexa+」は大規模言語モデル(LLM)を基盤に構築され、従来よりも自然で文脈理解力の高い対話を実現することを目指している。ユーザーはより柔軟な指示や雑談的なやり取りが可能になり、家電操作から予定管理まで、日常的なタスクをシームレスにサポートする。Amazonは、「親しい友人と話すような会話体験」を設計目標として掲げており、ユーザーの意図を理解し、洞察力のある友人と話しているような感覚で会話ができるのだという。
スマートホーム機器の制御に加え、レストランの予約サービスOpenTableを通じたレストラン予約、Amazon Music、Spotify、Apple Music、iHeartRadioなどの音楽サービスでの音楽の再生、Amazon FreshやWhole Foods Marketでの食料品注文といったサードパーティ連携にも対応する。
また、配達アプリGrubhubやUber Eatsでの配達の注文、チケット販売プラットフォームTicketmasterでチケットが発売されたときに通知する連携、誰かが家に近づいている場合にRing カメラと連動し、自宅周辺のアラート通知を行うなど、より広範な日常支援を想定している。
エージェント機能も導入され、「Alexa+」が自分でインターネットを操作し、ユーザーの指示をもとに一連の作業を自動化する構想が示された。たとえば修理業者を探す、予約を取る、リマインダーを設定するといった複数の手続きを自動的に処理することを目指している。ただし、こうした複雑タスクを完全に自律実行する機能は現在も開発段階にある。
ユーザーは、自身の好みやスケジュール、家族イベントなどの情報をAlexa+ に学習させ、よりパーソナルな提案を受けることができる。ユーザーが何を購入したか、何を聴いたか、どの動画を視聴したか、商品の配送先住所、支払い方法なども把握。さらに、家族のレシピ、大切な日付、豆知識、食事の好みなどの情報を「Alexa+」に伝えて覚えてもらい、より便利に使用することが可能。例えば、家族で夕食の計画を立てている場合、「Alexa+」はユーザーやパートナーの好みを覚えており、それをもとにレシピやレストランを提案してくれる。
Amazonは、こうした情報の利用に際してはユーザーが管理・削除できる仕組みを導入し、プライバシー保護を強化すると説明している。
デスクトップブラウザ、アプリやメール、ドキュメントなどを共有することで「Alexa+」の知識をさらに深め、これらの情報から記憶や要約、アクションを実行することができる。例えば、ライブミュージックのスケジュールの写真を送信すれば、その詳細をカレンダーに追加してくれたり、学習教材をアップロードすれば、クイズ形式に変換してくれる。また、学校からのメールをAlexaに転送し、「教室でボランティアをする日をリマインドして」などと頼めば、Alexaがそれをもとに行動してくれる。
「Alexa+」は米国で数週間以内に早期アクセス(Early Access)として提供が開始される予定。対象デバイスは Echo Show 8 / 10 / 15 / 21 などの最新モデルが中心となる。料金は月額19.99ドルと報じられており、Amazon Prime 会員は無料で利用可能とされる(詳細条件は国やプランにより異なる)。その後数ヶ月かけて段階的に展開される予定だ。
Top Image : © Amazon.com, Inc.